質問内容 | 答弁者 |
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情報化社会の進展に伴う改革について | 知事 |
自治体病院等について | 健康安全局長 |
宇陀市合併後の宇陀川浄化センターの運営について | 土木部長 |
情報化社会の進展に伴う改革について |
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我が県においても、庁内のコンピューターシステムによる情報ネットワークが整備され、情報の共有などに活用されているようですが、議会事務局の中は、 なかなかそのようにもいかないようです。議会事務局を軽視されているわけではないと思いますが、いかがでしょうか。インフラ整備の機器の整備が整ったとして、 なおかつ、それを運用する職員の頭脳の中身を改革することを迫られている時代であり、苦労されていると思います。 そこで、既に知事は、いろんな改革を試みられ、成功している分野もありますが、改めて知事から、奈良県という地方自治体を治める中で、 情報化社会の進展に伴い、県民と行政の双方向性の充実や、行政の効率化が期待されるが、これらをどのように進めているのか、まずはお答えください。 続いて、県政発展に関して、最も大切な職員の意識改革についてどのようにされてきたのか、今後、行政推進上、職員に何を求めているのか、お答え下さい。 |
知事の答弁 |
情報化の時代は、スピードと双方向性が特徴であり、先日オープンした県立図書情報館の内容をその代表例として子細に検分すれば、情報化に対する基本姿勢を理解していただけると思います。 この図書情報館は、構想をつくり、完成するまで10数年の期間を要しました。当初構想を企画していただいた委員会に、府県立では最先端の情報センターとも言うべき図書館で、 「50年後でも通用するものを」という大胆な希望を述べて検討をお願いし、完成しました。県民の皆様方と双方向性を広げる観点から、県民サロンの開設、各地の県政情報コーナーの設置、 県民の意見をいただく県政ポスト、ホームページ「県政の窓」、まほろば県政談話会、女性リーダーとの懇談会、21世紀の奈良づくり研究会、県政出前トークでの意見交換、 パブリックコメントの導入等々を進めてきました。さらに、こうした機会に県民から寄せられた貴重な意見をデータベースに蓄積して、県政の施策への反映を図るなど、 デジタル情報時代のスピードと双方向性を生かす方策を幅広く進めています。 こうした情報技術の進歩をできるだけ県政執行に効果的かつ効率的に取り入れる各種の試みもしています。本年4月には大和路情報ハイウェイが運用開始となり、電子申請等の手続きのオンライン化、 県下一円のケーブルテレビ化の推進、パソコンを職員1人1台ずつ配置することの実現や、総務事務の集中とシステム化、電子カルテシステムなど、各種業務情報のデジタル化、ホームページの作成など、 職員の処理技能の普及向上、あるいは総合防災情報システム等々、将来の動向を考慮しつつ、県政執行に効果的かつ効率的に役立つと判断される分野については、むしろ思い切った方針と選択を行っています。 県庁という組織体は、組織や施設等のハードと、法令、予算、施策等のソフトの両面が必要であり、この中で、職員が組織体のいわばかなめに立って活動し、 ハードとソフトを有機的に組み合わせる最も大切な役割を果たしていると考えています。その大切な職員意識の前提となるハードまたはソフトの両面を今日的に改革するため、 例えば、従来の縦割りの強い組織や仕組みを改めるため、総合調整室や各部局の幹事課の強化充実、調整担当グループの設置と横断的な動きを強化する組織改正を行ったり、 全庁的な総合調整を進めるため、担当部署の立場を離れて重要施策を議論する政策経営会議や政策調整会議の運営、全庁所属長会議での活発な諸報告、あるいは庁内の横断的な動きを実効化する各種の試みを実行してきました。 また、コスト意識の助長や、民間の感覚を体得させるため、若手職員と管理職員に民間派遣研修を経験させており、既に300人を超えています。そのほか、民間実務経験者を県庁幹部や県立高校の校長先生、 または県政アドバイザー等に公募等で採用したり、公共施設の仮想料金の試算や、政策評価や事業評価の定着など、各種の挑戦を試みてきました。 また、予算編成に関しては、政策議論を先行させる仕組みに切り替える各種の試みを重ねて、5年前からは夏季討論として定着し、厳しい財政状況の中ではあるが、萎縮せずに新規事業を発掘する仕組みになっています。 また、職員の意識については、人材は県庁の動きを決定づける最も大切な、しかも生きた資産であり、職員の意識を時代の動きに合わせて意識改革していくことは最も重要な事柄と認識し、 特に職員との対話を重視して実行してきました。例えば、就任初期には、時間外で、中堅管理職員、本庁の課長補佐や出先機関の課長と数十回意見交換会を重ねており、参加者は二百数十人に上っています。 また、努めて管理職や若手との自由な議論の場もつくっており、職員研修での各種の講話、年末年始や年度当初のあいさつにも、単なる時候のあいさつではなく、 県政の進め方や仕事の取り組み方などを交えて本音で語る機会にして、いわば人間同士として職員の心に語りかける努力を重ねてきました。特に、県民の立場を最優先に意識して仕事をすることが必要であり、 就任以来、1つは公正な判断、1つは親切な対応、1つは明朗な手順、この3つを職員必携の冒頭に掲げています。職員に対する私の考え方の基本は、仕事に対する意欲を自分自身の生き方と出来るだけ一致させる方向が望ましいと考えており、 例えば、勤務時間中は仕事の効率・効果を高めることに専心し、その他の時間は趣味、家族やボランティア等の自発的な活動に燃焼させることを希望しています。 これらの試みがある程度成功し、また、たくさんの課題を残している面もありますが、今後ともやわらかな発想で、各種の模索を職員と語り合いながら前進させたいと考えています。 |
自治体病院について |
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県立病院の経営に苦労されているが、もっと大変な事態に追い込まれているのは、市や町で運営している病院です。全国的に同じ悩みをどの病院も抱えているのですが、 この事態を奈良県としてどのように受け止めているのか、直接の管理義務者ではありませんが、健康安全局長にお伺いします。 あと20数日過ぎると新しい「宇陀市」が誕生し、その建設計画の目玉である市民病院の建設について具体的な取り組みが始まります。 施設の整備は当然のこととして、運用については地域住民が大きな関心を寄せています。県内の自治体病院に対し、そのほとんどが県立病院との連携や提携、 情報交換を必要とし、奈良県の協力なしには運営がおぼつかないのが現実です。このような現実を直視しながら、宇陀市が建設を進めようとする病院に大きくかかわりを持つことが、 合併を促進してきた奈良県としての責務であると思いますが、どのように対応されるのか、健康安全局長にお尋ねします。 |
健康安全局長の答弁 |
自治体病院の経営については、診療報酬のマイナス改定、患者の自己負担増等の医療制度の改革が進む中で、小児医療やへき地医療等の不採算部門を担っており、 非常に厳しい状態にあると認識しています。県内の自治体病院の決算状況を見ると、そのほとんどが赤字であり、全国的にも自治体病院は約88%が赤字という状況です。 その経営効率化は喫緊の課題と認識しています。この状況にかんがみ、総務省では本年1月に「地域医療の確保と自治体病院のあり方等に関する検討委員会報告書」 をとりまとめ、経営効率化を図るため自治体病院の再編とネットワーク化を促進する提言が出ています。県としても、平成16年3月に医療審議会に地域医療部会を設け、 公的病院の機能分担や連携、経営効率化について検討いただいており、今後、各自治体病院の経営健全化を促進するよう協力していく所存です。 来年1月に誕生する宇陀市にとって、榛原総合病院を引き継ぐ市民病院の整備は、合併に伴ってまちづくりの重要項目と認識しています。 その市民病院のあり方を検討するため、現在4町村の合併協議会が市民病院整備検討会を設置しており、当検討会へは県からも委員として参画しています。 市民病院の整備に当たっては、宇陀市民の医療ニーズに対応した医療サービスを提供するため、施設だけではなく、地域にとって必要な救急医療や小児医療が提供される体制をどのように構築すべきか、 診療機能や経営形態のあり方を含め検討する必要があると認識しています。今後も市民病院の整備に向けて、検討会での協議がスムースに進むよう県としても協力していきます。 |
宇陀市合併後の宇陀川浄化センターの運営について |
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今行われようとする町村合併は、規模を拡大することによる財政上のメリットを高めることが大きなねらいであります。しかるに、下水道事業にかかわる法では、 宇陀川浄化センターは新市の宇陀市で運営しなければならず、今まで県営として県の管理下にあったものが、市に移管されることになります。 協議が成立した場合、何年かの一定期間を経過した後であるにせよ、今まで以上に地域住民に負担を迫る結果になりそうです。現在のままの状態で、どの程度の財政負担を背負うことになるのか。 今でも水道料金が高額であるとの不満の多い中、新市の市民はその負担に耐えられるのか。合併の成果が地域住民の負担を多くすることでは、感心できません。 宇陀川浄化センターの今後の運営について、土木部長に答弁願います。 |
土木部長の答弁 |
下水道法においては、市町村合併により、流域下水道の処理区域内の市町村数が2以上から1市になった場合は、市町村の公共下水道として位置付けられることから、 合併後は新市が宇陀川浄化センターの運営を行うこととなります。宇陀川流域下水道の運営費用については、個別に決算していないが、県全体の流域下水道の決算から、 市町村負担金、維持管理費、起債償還額等を処理水量をもとに試算した資料を合併協議会に提出しています。平成16年度の試算では、歳出として、維持管理等に係る経費が約6億2200万円、 歳入として、市町村維持管理負担金が1億3000万円、一般会計からの繰入金及びその他の収入が4億9200万円となっています。 なお、合併特例法の規定により、県と関係市町村の協議が成立した場合は、最長10年間、流域下水道とみなし、県が引き続き維持管理していくことが可能となっています。 この適用及び維持管理費等の問題も含めて、合併協議会の中で議論されていると理解しています。今後、宇陀川流域下水道は公共下水道に移行されることになるが、 合併特例法の適用については、真摯に対応したいと思います。 |