質問内容 | 答弁者 |
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うだ・アニマルパークの施設運営について | 教育長 |
農林部長 | |
動物愛護について | 健康安全局長 |
県の消防体制について | 危機管理監 |
(要望)救急搬送について |
うだ・アニマルパークの施設運営について |
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まずは、今日までに問題提起をし、取り組みをお願いしてまいりました課題であります。その第一は、宇陀市内にアニマルパークと動物愛護センターがことしの春に開設されています。この件に関し、お尋ねいたします。 この施設は、橿原市内にあった動物指導管理事務所が、民間住宅がすぐ近くまで開発されてしまったため、住宅より早く設置されていた施設であるにもかかわらず、立ち退きを余儀なくされた。そして、移転させる候補地を求めていたが、適地をすぐに見出すことができなかった。そこで県は、宇陀にある畜産試験場をアニマルパークと動物愛護センターのセットとして宇陀に持ち込んできたという経過を経ています。地元の住民は、動物愛護センターは、動物のアウシュビッツだ、生きた動物を強制的に殺す虐待施設だとの激しい反対運動に遭い、場内の整備が完成したにもかかわらず、進入路が開通できず、最近ようやく用地の確保のめどがつき、進入路の橋の工事に着手されたとの話を伺っています。それほどまでに地元の厳しい受け入れ反対のあった施設であることを改めてご認識いただいた上での質問とご理解ください。 県は、この施設を計画するに当たり、県民や地域の住民の方々に事前の幾つかの約束をされています。これらの当初約束について、約束は守っておられますか。お尋ねいたします。 お尋ねする内容は、場内施設の利用実態です。特にこの施設は、命の大切さを教える場として効果を発揮させることが述べられていました。また、動物と親しみ、ふれあい、動物からの恩恵について学ぶ場所との認識を持っておりました。これらを達成するために、県教育委員会は、小学校の校外学習の一環として、県内の児童にアニマルパーク、動物愛護センターでの教育を約束されました。教育委員会は、その約束を実行されていますか。生徒数、学校数において同施設を訪問した、もしくは同施設で学習した割合はどの程度ですか。数字が低いことを予想しますが、誠に残念なことと思います。このお約束は教育委員会がなされたものであり、同施設からの要望がないから訪問しないというテーマではありません。既に開園されている以上、みずから約束したことは実行されるのが県教育委員会の立場であると思いますが、いかがでしょうか。 先日、世間を驚かせた殺人事件がありました。覚悟を決めての犯行のように装った元厚生省事務次官と、その家族への殺人事件でありました。真偽のほどは明確ではありませんが、信じがたいような事件の口実になったのは、ペットの処分に関してであります。命の大切さを理解していただくために、ほかにも報道されている最近のひどい殺りく、悲惨な事件や事故を引き起こさせないために、もっと命を大切にする教育の充実を図らなければなりません。そのためには、教育現場としてのこの施設の効果を発揮させるための利用を図らなければなりません。いずれにしても、この施設の建設プランを提示したときの約束を守らないのは、約束事を守るという教育の根本をみずから放棄しているようなものだと断定せざるを得ません。 改めてお尋ねいたします。教育委員会は、県下の児童生徒や学校に対して、同施設を訪れ、利用してもらい、命の大切さを教育する意思はありますか。明確にお答えください。 次に、ことしの2月議会において、集客施設としてのノウハウや運営時の施設についてのお話を申し上げましたが、ご記憶いただいているでしょうか。その後、私は地元住民から、同施設についての評価が変わった、また、新たな課題が見えてきたとの指摘と、運営を民間に任せたらどうかとの話を聞いています。来園者というお客様を迎えての接待のあり方、お客様に喜んで帰っていただき、新しいお客様を連れてくるという発想は、今の状況の中では感じ取ることができません。もともとそのような発想を必要としていなかったのだろうと思っています。しかし、トータル予算として38億7000万円余りという大金を投入しているにもかかわらず、少ない利用度の施設である現実を直視することが大切です。 施設を迎えた地元大宇陀では、本来奈良県が行わなければならないようなことを地元の有志の方々によって行っています。何をしたかといいますと、講師を招き、同施設をどのように運営することが地域の活性化にもつながるかをテーマとして勉強会を昨日開催いたしました。奈良県が、当初地元に説明したような計画にのっとって、地域活性化の視点をも持ち合わせ、運営されますよう期待しています。せっかくの広い施設をのんびりとした空間だけにするものではない、生き生きとした施設にすることをどうすれば実現するのか、もっと真剣に考えていただきたい。 以前、この施設を活性化させるための手法を考えたらどうかとのお話をいたしましたが、改めてお伺いします。県は、管理運営を民間に任せる考えを含め、活性化をどのように考えていますか、お答えください。 私は、議場におられる皆様方にお尋ねしたい。県内にある奈良県の施設は、議員の皆様から見て十分に生かされているでしょうか。金をかけただけあってうまく運用されていると評価できるでしょうか。私は、何もかもだめだとは申しているのではありません。しかし、工夫をすればもっとよくなるだろうと思える施設があるでしょうし、施設活性化への思いを抱いておられる方がいると確信しています。また、今質問をしている同施設は、動物愛護センターとアニマルパークの二つの役割があり、県の部局においても二つの部のもとに運営されています。命を大切にする学習施設、動物学習館は農林部の管理ですが、動物愛護センター側の展示はできているのでしょうか。連携がスムーズに行われているのか微妙なところがあるように思います。それとも、動物愛護センター側には、展示について考えたり、参画する必要はないのでしょうか。同施設の運営が総合的に考えられ、スムーズに行われることを望んでいます。 |
教育長の答弁 |
私には、県下の児童生徒や学校に対して、うだ・アニマルパークを訪ね、利用して、命の大切さを教育する意思はあるのかとのお尋ねでございます。 子どもたちに命の大切さを学ばせることは重要なことであり、本年4月に開園したうだ・アニマルパークは、動物とのふれあいを通して命の大切さが学習できる施設であることから、平成16年9月議会の議員からのご質問で、教育委員会としても児童生徒への学習への動機づけを図ったり、学習効果を高めたりするための有効な施設の一つとして、うだ・アニマルパークの活用を各学校に促していきたいと答弁しているとおり、現在も同様に考えているところでございます。 ただ、学校の社会見学、遠足等の学校行事の計画は、おおむね前年度に行うこととなっているところでありますが、4月25日のうだ・アニマルパークの開園日が3月中旬の決定となったことから、今年度の活用についての通知文を出すタイミングを逸したことは遺憾と考えておるところでございます。 今年度のうだ・アニマルパークのデータによると、開園から11月末までの開園者数は、個人の来園で約5万人でありますが、団体の来園では述べ97団体、4016人であり、そのうち、県内の学校等の来園は44校、2,263人で、全体の約56%の状況と把握しているところでございます。 現在、これらのことから、来年度の学校等のうだ・アニマルパークの活用について、既にこの12月2日の小学校長会で説明を行ったところであり、続いて、県教委が発行するすべての市町村教委、幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校等に情報連絡手段としています週報に掲載し、活用を促していきたいと、そのように考えているところでございます。 |
農林部長の答弁 |
私に対しましては、管理運営を民間に任せる考えを含め、うだ・アニマルパークの活性化をどのように考えているのかというご質問でございます。 うだ・アニマルパークは、人と動物とのふれあいを通じて動物を学び、また動物から学ぶ、そして命の大切さを学ぶとともに、生きる力をはぐくみ、動物に対する理解を深めながら、動物愛護について普及啓発を図り、豊かな社会づくりに寄与することを目的として、本年4月25日に開園し、11月末までに約5万4000人の方々に来園いただいたところでございます。 同施設におきましては、人が食をはじめ多くの恵みを受けている動物に関するさまざまな展示を行うとともに、バターづくりなど、畜産の加工体験、乳牛の搾乳、ポニーの乗馬など、動物ふれあい体験を実施させていただいております。動物とのふれあいを通じて命の大切さを学んでいただくためには、子どもたちに来て、見て、触れて学んでもらうことが重要であり、このため、地元の教育委員会などと連携し、先生方に見ていただき、学習の場として活用いただいているところでございます。 また、県内外の多くの皆様に来ていただけるよう、各種メディアを通じて広報いたしますとともに、地元特産品コーナーの設置や弁当の販売、農山村まるごと収穫体験ウォーク等の広域イベントへの参加、なら動物愛護フェスティバル等のイベントを実施してきたところでございます。 現在、地元の方々とも意見交換を行っており、来園者のアンケート調査を参考にしながらふれあい体験等の充実を図るとともに、地元や民間団体等の協力もいただきながら、うだ・アニマルパーク、ひいては大宇陀地域の活性化につながっていくように取り組んでまいりたいというふうに考えております。 |
動物愛護について |
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続いて、動物愛護についてお尋ねします。 動物愛護センターの建設計画当時より、私は動物にマイクロチップを埋め込む条例を定めるべきだ。県民が動物愛護についての認識を深めることや、愛玩動物の迷子が生じたとき、もとの飼い主に引き渡すことができるように体制を整える必要があると主張してきました。過去のこの問題に対して、当時の担当者はつれない返事でありました。なぜなら、もとより厚生労働省はマイクロチップに関心がなく、犬の狂犬病のみに関心があるといい、環境省の認識や見解と大きな違いがあったからです。だからといって、私はそれであきらめることはできません。 奈良県は、処分頭数の減少に向け、今後も取り組みを行うことを約束されています。処分頭数が少なくなりつつあるかどうか、そして、野良犬や野犬は減少したのでしょうか。迷い犬が捕獲されていることはないのでしょうか。ペットの飼い主がルールにのっとって飼育する、その責任を果たし、ペットの投棄を防ぐために、マイクロチップの装着は必要なことです。捕獲された動物のもとの飼い主を明確にできるよう、ペット動物の飼育には、マイクロチップの装着を飼い主に対して義務化すべきであります。マイクロチップを導入すべきだとの主張をどのように受けとめておられますか。お伺いいたします。 地元奈良の獣医師の方、インターネットの自然保護団体のサイト、書籍等、調査を行ってきました。そして、先日は既に飼い猫にマイクロチップを埋め込むことを条例化している沖縄県の自治体にヒアリング調査をするため、出かけてきました。制度化を実行した自治体は、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコを保護することが目的でありますが、地域の獣医師の方々の真剣な努力とともに行政としても努力し、マイクロチップの装着を義務づける条例の整備をされました。条例化を行ったのは、それぞれ小さな自治体です。天然記念物を守ることが目的になっていますが、捕獲された猫の中にマイクロチップを埋め込まれているものがあり、もとの飼い主に返すことができたという事例も紹介をされました。この運動は、九州獣医師会の600万円の寄附によって始まり、天然記念物が守られたり、マイクロチップの導入の道を開いたとの説明を受け、感銘いたしました。また、獣医師の方々に伺いますと、動物管理において、現在の手法の中でマイクロチップの装着が一番だとの意見ばかりでした。獣医師の方々の努力を高く評価し、奈良県においても獣医師の先生方のリーダーシップの発揮を求めたいところです。 また、都市でのペットについては、東京近郊のみならず、多くの獣医師会の方々がマイクロチップの装着を積極的に進めておられます。県内においても、獣医師の方々はマイクロチップの装着に積極的です。厚生労働省の狂犬病対策を含む登録制度がマイクロチップによって運営されることが装着頭数をふやし、迷い犬や迷い猫の処分頭数を減らすきっかけにつながるものと思っています。最近は、装着に多額の出費を必要といたしませんし、犬の体温まで瞬時にはかることができるチップもあるようです。厚生労働省の担当者が理解を深められますよう、奈良県からの積極的な運動の展開を望みます。 |
健康安全局長の答弁 |
私に対しましては、動物愛護センターでの処分頭数、また、野犬や野良犬の減少はどうか。それから、迷い犬が捕獲されたことはないのかというご質問と、もう一点、ペット動物の飼育にマイクロチップの装着を義務化すべきではないかというご質問でございます。 最近の動物愛護事業に関する状況について申し上げますと、平成15年度と平成19年度との比較についてでございますが、犬及び猫の処分頭数は平成15年度に3,851頭ございましたが、平成19年度には約1,000頭減りまして、2,791頭になっております。また、保健所への野犬等の苦情申出件数は、同様に984件が669件と、約300件減少しておりますし、野犬等の保護頭数も719頭が397頭と、約300頭減っております。これらのことは、動物とのふれあい教室、しつけ方教室などの動物愛護啓発事業を動物愛護センターと保健所が一体となって行っていることの成果と考えております。今後ともさらに処分頭数を減らす努力をしてまいりたいと考えております。 また、迷い犬につきましては、飼い主がいると思われる犬を実際に保護している事例はございます。その場合、通常約一週間の保管をするということになっておりますが、返還の可能性が高いと思われる保護犬はそれ以上に保管しまして、市町村へ連絡し、公示していただきますとともに、保健所でも公示することで情報の収集に努めておりまして、できるだけもとの飼い主を探す努力をしております。 次に、マイクロチップについてでありますが、犬及び猫の適正飼育に関しまして、マイクロチップが有効であることは認識しております。昨年度策定いたしました奈良県動物愛護管理推進計画にも、迷い犬等の保護、飼育動物の遺棄防止などにつながるよう、マイクロチップの普及も視野に所有者明示の推進をすることとしております。しかしながら、マイクロチップの埋め込みの義務化は、犬などの所有者に経済的負担が新たに生じること等から、広く県民の理解が必要であり、また、より実効性を高めるためには、全国一律の対応が必要であると考えられますことから、法整備に係る国の動向も注視しながら議論をしてまいりたいと考えております。 |
県の消防体制について |
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続いて、消防を取り巻く環境、課題についてお尋ねいたします。 組織的には、自治体による消防職員と消防団員があります。まずは、消防団についてであります。 歴史的に見ますと、消防団員の貢献はすばらしいものがありましたし、現在も活躍しておられます。しかしながら、社会の変革、特に職業についての変化は、多くの青年たちを消防活動から引き離してしまったと言っても過言ではありません。入団を勧誘しようとしても、職場環境を配慮しますと、とても入団を望めない若者たちであります。もっと申し上げれば、勧誘しようにも若者がいない状況に陥ってしまっている地域があります。これからの地域安全を支える体制が存続していけるのか、不安を抱いています。数字的な情報を踏まえ、奈良県として消防団活動の存続、団員の確保をどのように考えておられるのかお尋ねいたします。 また、地域生活のあり方は大きく変わり、多くの女性も職場の中にいます。女性団員を募集する方法が模索されましたが、部分的であり、ほとんどの地域で行われていない現状を考えると、大きな成果を得られている状況でないと申せます。私たちは、たとえ過疎地域であっても、そこに住む人たちの安全を確保するための方策が必要です。この課題は、宇陀地域に限りません。奈良県下全域にわたる大きな問題だとの認識をもとに、ご回答をお願い申し上げます。 消防団員を取り巻く環境、中でも装備更新に取り組むのが困難だとの事情があるように思えますが、いかがでしょうか。これから、財政的に困窮する市町村が多くなるにつれ、装備の更新はますます難しくなることでしょう。そこで、奈良県としての一層の取り組みが必要であると思いますが、いかがでしょうか。 多くの団員は、定期的に夜に消防機庫に集合し、熱心に点検や防火意識の高揚に努めていただいています。しかし、貴重な時間を費やしての活動は、これだけにとどめていいのでしょうか。消防団員への研修の場としての活用が必要ではないでしょうか。消防法においてはどのようになっていますでしょうか。奈良県としての取り組みが十分でないとはお考えになりませんか。 消防関係者の教育については、消防学校を取り上げなければなりません。消防学校は、消防の将来を託す若者に、最新の専門知識と確実で勇気ある行動を期待する県民の注目にこたえる団署員を育てる重要な教育機関でありますが、近隣府県と比較して、その施設、内容について比較していただいているでしょうか。三重県ではISOの認証を取るなど、努力が目に見える形になっています。奈良県の消防学校の内容が近隣府県と比較して充実しているかどうかお聞かせください。また、現状の講座、訓練機器で新しい建築構造物を対象とした訓練ができているでしょうか。お尋ねします。 次に大きな課題は、消防体制の再編の問題です。 それぞれの自治体間では、かつて非公式ながら話題として上り、現在推進計画が策定され、13消防本部を1消防本部にする取り組みが動き出そうとしています。この問題は、数年前からの検討されてきた事柄でありますが、その進捗状況はどのようになっていますか。どこかに問題点があるのでしょうか。 消防組織法によりますと、第三十三条において、「都道府県は、基本指針に基づき、当該都道府県の区域内において自主的な市町村の消防の広域化を推進する必要があると認める場合には、その市町村を対象として、当該都道府県における自主的な市町村の消防の広域化の推進及び広域化後の消防の円滑な運営の確保に関する計画(以下この条において「推進計画」という。)を定めるものとする」と規定されております。その中で、「都道府県知事は、広域化対象市町村の全部又は一部から求めがあつたときは、市町村相互間における必要な調整を行うものとする」と規定されています。そして、「都道府県知事は、市町村に対し、自主的な市町村の消防の広域化を推進するため、この法律に定めるもののほか、情報の提供その他の必要な援助を行うものとする」となっております。そこで、この大きな課題について、奈良県はどのように対応するのが妥当と思われますか。自治体消防は市町村の課題だとして様子見を決め込んでいては、消防組織の抱える課題が先送りになるばかりであります。今、他府県においても取り組みされている消防広域化の課題に対して、奈良県は積極的なリーダーシップを発揮すべきです。どのように取り組んでおられるのかお答えください。 |
危機管理監の答弁 |
私に対する質問は、消防に関する諸課題について、四点のお尋ねであります。 第一点目は、消防団の団員確保等についてでございます。 消防団員は、地元の実情に精通し、日ごろから教育訓練を受け、災害発生時に対応できる能力を備えているという特性があり、また、ほかに本業を持ちながら、ボランティア的に消火・救助・危険箇所等の警戒など、幅広く活動いただき、地域住民の安全・安心の確保に大きな役割を果たし、地域にとってはなくてはならない存在となっております。 しかしながら、全国的に新たに団員として参加する若年層は年々減少し、また、地域社会への帰属意識の希薄化などにより、本県においても、市町村や県消防協会での団員の確保努力にもかかわらず、団員数は現在で約9,000人、10年前の平成10年の約1万人に比べ約1割の減少となっており、消防団員の確保は大きな課題となっております。 県としては、消防出初式や消防操法大会、消防団幹部大会等を県消防協会とともに開催し、団員の士気高揚や普及活動など、団員の確保対策を展開してきたところでございます。また、先月には奈良県女性防火・防災クラブ連絡協議会を設立し、女性の防火意識の高揚や女性の活動の普及・推進も図っているところでございます。 今後とも地域の防災力を高めていくことが必要でございますことから、女性や公務員等の入団促進、さらには協力事業所表示制度の活用など、消防団員の確保に向け、努力してまいりたいと考えております。 二点目は、消防団の装備の更新等についてでございます。 消防団がそれぞれの地域で消防活動を行うための消防ポンプ自動車や防火水槽などは、火災による被害等を最小限に食いとめる重要な消火用資機材であり、施設等でもございます。市町村の財政状況が厳しい中で、県としても地域の防災力の強化が必要と考え、消防用資機材や施設の整備・更新等に助成を行うなど、支援を実施しているところでございます。今年度は、消防ポンプ自動車を4市1組合に、防火水槽を1市2町1村に助成したところでございます。今後とも、地域住民の安全・安心を確保するため、また、地域の消防力が強化されるためにも、県単独の補助制度を活用した支援を行ってまいりたいと考えております。 第三点は、消防学校の現状等についてでございます。 消防学校は、昭和48年に消防組織法に基づき設置して以来、初任教育や専科教育、幹部教育なども実施し、多くの消防職員や消防団員に消防活動に必要な知識、技能を習得していただく場として重要な役割を担っているところでございます。しかしながら、その消防学校も建築後35年が経過し、また学校周辺の環境も変化し、施設の老朽化や、敷地は狭隘で、複雑・多様化する消防活動に必要な教育訓練施設としては十分とは言えない状況がございます。一例を挙げますと、実践的な建物火災を想定した模擬消火訓練や水難救助訓練は、近隣の消防学校の施設を借り受け、実施している状況もございます。 いずれにいたしましても、消防学校の整備は大きな課題でありますが、消防学校は県東部地域の防災拠点としての役割も担っていることもあり、いろいろな角度から早急に検討していく必要があると考えております。 第四点目は、市町村消防の広域化の取り組みについてでございます。 本県には13の消防本部と非常備村2村があり、消防職員や消防団員等が連携し、日々ご努力をいただいているところでございます。しかしながら、その規模は小規模であるがゆえに課題もあり、消防体制について、必ずしも十分でないのが現状でございます。また一方では、大規模災害にも即応できる体制の強化・充実も求められているところであります。 このような状況の中で、平成18年の消防組織法の改正を受けまして、昨年5月に市町村消防広域化検討委員会を設置し、住民サービスの向上につながる今後の消防のあり方についてご議論をいただき、県内一消防本部とすることが望ましいとの提言があり、本年3月に奈良県市町村消防の広域化推進計画を策定したところでございます。 本年度には、市町村に対し、この推進計画の説明会を開催し周知を図るとともに、市町村による広域消防運営計画策定に向けた(仮称)奈良県消防広域化推進協議会を設置するための方策等について、県消防長会と協議を重ねてきたところであります。また、この協議結果を踏まえ、11月には市町村長等を対象とし、広域化の進め方をテーマにトップセミナーを開催するなど、理解を深めてきたところでございます。 県といたしましては、12月の人事異動で新たに広域化担当職員を配置し、来年1月からは、各消防本部から派遣される13名の消防職員とともに準備事務局を桜井総合庁舎内に立ち上げ、4月には、先ほど申し上げました(仮称)奈良県消防広域化推進協議会が設置される予定でございます。このような取り組みは全国でも先進的であり、特に一本化とする広域化の協議会を立ち上げるのは、全国初の取り組みになるものと考えております。 市町村消防の広域化は、県としても重点課題として位置づけ、協議会への参画や場所の提供、情報の提供及び相談など、積極的に支援を行うこととしており、遅くても平成25年4月には広域化が実現されるよう努力してまいりたいと考えております。 |
(要望)救急搬送について |
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次に、消防職員の業務の中で多くの時間を割く救急搬送についてです。 妊婦搬送について、全国的な話題を提供し、産婦人科一次救急体制や妊婦搬送コーディネーターなど、その対策に全国に先鞭をつけて取り組まれました。最近、東京都においても同様の問題点が指摘されたところであり、消防救急と医療との連携の難しさを再認識させられています。これだけ高度に成熟した社会にあって、少子社会にあって子どもと妊婦を守れないむなしさは、家族の悲しみにとどまらず、社会の大きな課題であります。今、奈良県の行っている試みは先取的な取り組みであり、日本の救急受け入れ体制をリードする成果だと思います。しかしながら、今の対象は妊婦であり、コーディネーターの配置も土日、休日に限定されたものであります。 さて、消防職員が搬送する患者の多くは、内臓、消化器系、循環器系疾患もしくは外傷等による重病傷者であると思われます。妊婦に限らず、日常的に頻繁に搬送されている患者の搬送受け入れシステムについても、妊婦と同様の受け入れ体制を築き上げることが必要であります。命を大切にする奈良県としてのイメージアップは、奈良のブランドを大いに高めることだと確信しています。受け入れ制度としてのコーディネーターを他の病症にも適用できるための体制を整えていただきますようお願いいたします。 消防の広域体制が実現しますと、救急搬送についても大きな成果を上げられると期待できます。まさに、消防指令と受け入れコーディネーターが県レベルにおいて直結できることにつながると希望を膨らませています。救急搬送における連携の強化については要望といたします。 |