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会議録




平成20年2月 第288回 定例奈良県議会 一般質問


質問内容一覧


質問内容 答弁者
市町村合併について 総務部長
土木部長
奈良県の医療体制について 健康安全局長
中小企業の振興について 知事
動物へのマイクロチップ埋め込みについて 健康安全局長
山の日制定について 農林部長
有害動物駆除について 農林部長
木材の需要拡大について 農林部長
総合評価落札の効果について 土木部長
要望)宇陀地域の道路整備について
(要望)警察再編について


市町村合併について
 まず、市町村合併についてお伺いいたします。

 宇陀市は合併をして2年が経過しました。合併協議の期間が短かったので、合併後の調整が今もなお行われています。その中にあって、県、国が宇陀市・宇陀郡の合併に向け活動しているとの話が聞こえてまいります。一方、宇陀郡におきましては、曽爾村、御杖村の両村が合併に関する会議を持たれたり、合併に今まで以上に関心を深めている状況です。宇陀市が合併を果たしてから今日までのその効果について市民の評価も定まらない中にあって、改めて宇陀市・宇陀郡の合併に前向きに取り組もうと考える客観的な状況に至っていないと市民は受けとめています。

 しかし、私は、宇陀は一つと強く主張した先輩の言葉を重く受けとめていますし、今改めてその言葉の重みを表現しなければならないと感じています。宇陀市民の皆様にもう一度、宇陀が一つになろうと提案を申し上げたいと思っています。県が改めてこの合併を推進されるなら、中途半端は地域住民にとって誠に迷惑な話です。合併した自治体には奈良県全庁を挙げて支援することが奈良県のお約束でありました。合併後の宇陀市が建設計画を実行するための財政担当者の財源捻出の厳しさは大変なことでしたし、今もなお厳しい状態が続いています。

 そこで、総務部長にお尋ねします。宇陀市・宇陀郡の合併について、奈良県の立場及び活動経過を説明していただきたい。そして、奈良県として合併を推し進めるならば、改めて合併後の支援についての決意をお示しいただきたい。

 また、宇陀市合併に伴い県が設置、維持管理している宇陀川流域下水道が、8年後、宇陀市公共下水道として名前を変え、その管理が宇陀市に移ることになります。現在でも財政危機的な状況の中にあって、公共下水道の設置及び維持管理経費を捻出することは絶望的です。また、宇陀市が公共下水道として下水道を受け入れるならば、受益者でない室生区の住民にも重い負担を強いることになります。宇陀川流域下水道事業を計画した当時は、室生ダムの水質確保が大きな理由でありました。合併をしなければ公共下水道にならなかったのですが、合併時に県の理解のもと、公共下水道への移行時期が10年後の猶予を受けましたが、8年後下水道施設が移管されると、たちまち毎年2億5000万円前後の財政確保が必要となり、財政が立ち行かなくなります。それがわかりつつ、将来奈良県から知らぬふりをされると、地域住民は途方に暮れることになるでしょう。

 県は来年度予算において施設の更新の取り組みをしていますが、下水道管理の根本的なあり方について検討することが必要と考えています。ついては、善処をお願いし、土木部長にご所見の開陳をお願いしたいと思っております。
総務部長の答弁
 現在、市町村合併につきましては、県内市町村の状況を踏まえまして、小規模町村の解消を最優先にいろいろな取り組みを行っているところでございます。宇陀市・宇陀郡の合併につきましては、宇陀市長、曽爾村及び御杖村の村長との話し合いを頻繁に行うとともに、国、県、3市村の長による合併に向けた意見交換会を開催いたしまして、合併に向けた取り組みを進めるよう協議をしているところであります。この中で、宇陀郡2村の村長が宇陀市との合併に前向きな姿勢を示しておられるところでございます。また、宇陀郡二村の議会も昨年11月と本年2月に議員が一堂に会されまして、合併に関する研修会や意見交換会を開催され、合併についての議論を推し進めておられます。

 県といたしましても、研修会へ講師を派遣いたしまして、2村と連携をしながら行財政運営に関する研修資料を作成するなどの支援を行うとともに、意見交換会にも参加をいたしまして、質疑への応答や情報提供に努めてまいりました。今後も、2村が宇陀市との合併に向けた話し合いが進められるような環境づくりに向け、首長や議会議員の意見交換の場のセット、県・3市村の長との継続協議など、積極的な取り組みを行ってまいる所存でございます。また、合併後の支援につきましては、例えば新市まちづくり計画に位置づけられる道路整備等の県事業の重点実施を図るなど、全庁的な体制で支援をしてまいる所存でございます。
土木部長の答弁
 宇陀川流域下水道の公共下水道への移管により、宇陀市は多額の設置・維持管理経費が必要となるため、管理の根本的なあり方について検討が必要と考えるがどうかという点でございます。

 宇陀郡の3町1村が合併し、新たに宇陀市になったことによりまして、宇陀川流域下水道につきましては、下水道法及び合併特例法の規定によりまして、平成28年度に県から宇陀市に移管され、市の公共下水道として維持管理されることとなります。全国的に、公共下水道の管理運営につきまして、市町村の財政基盤が脆弱であることなどから多くの課題を抱えているという状況にございます。このため、国におきまして下水道政策研究委員会計画小委員会で、下水道の適正な維持管理及び健全な経営のあり方につきまして、維持管理費の縮減、使用料の適正化、施設の利用効率の向上など、いろんな観点から現在議論がなされているところでございます。

 宇陀川流域下水道の市への移管に関しまして、この小委員会での検討内容なども踏まえながら、宇陀市と定期的な協議の場を設けて、下水道管理のあり方について検討していきたいと考えてございます。なお、現在県では、維持管理コストを抑えた設備更新工事の実施を行っているとともに、管理運営技術の伝承の検討などに取り組んでいるところでございます。
奈良県の医療体制について
 次に、奈良県の医療体制についてお尋ねいたします。

 宇陀市が合併し、まず取り組もうとしたことは、市民の命を守る病院の改築でした。合併時の資金調達もくろみとは少し異なりましたが、ようやく建物についての合意を得、準備が進みつつあります。病院の建物は新しくなるのですが、一番肝心なことは、その病院でどのような診療が行われるかであります。もちろん病院の建物を建設することについても奈良県の協力を受けてきたわけであり、榛原町立病院の時代から医療の連携についても県立医科大学の医師派遣を受け、成り立ってきたところです。せっかく新しい建物ができたこの機会に、診療についても、医師の派遣にとどまらず、医師の交流を決意していただきたいと強く望みます。

 県立病院の持つ機能は、今日までにおいても、手術の支援や多様な連携を行ってきた経過もあり、地域医療の指導的役割を果たすことでありました。公立病院から県立病院への医師受入れが定期的に行われるレールをつけることで、公立病院と県立病院の医療の水準を平準化することにつながるものと考えています。現在の県立医科大学附属病院への入院希望は、どの科においても希望者が多く、待機されています。医療水準の平準化は、多くの患者が遠くの病院より近くの病院を選択されることになるでしょう。

 医師の派遣は、県立医科大学の医局が担っていることは承知していますが、県として、宇陀市立病院が地域に必要な医療を担うことができるよう、どのような支援を考えておられるのでしょうか、健康安全局長にお伺いいたします。

 普遍的な発想をすると、おしなべて、市や町立病院の経営実態は厳しいし、所属する医師の負担が大きいと思います。この課題は県内自治体病院の経営に共通したことであり、診療能力の向上を高めるための施策を講じることが大切だと思っています。そのために、先ほどは県立医科大学附属病院との交流を申し上げましたが、それだけではなく自治体病院間の医師の交流が行えないか、経営の連携や自治体病院の共同経営化を含む抜本的な改革が必要とされているのではないかと、提言させていただきます。それぞれ自治体で考えればよいことだと突き放さずに、公立病院自体が重篤状態にならないよう、ぜひ県のお考えをお願いしたいと思います。
健康安全局長の答弁
 医療体制につきまして、県として宇陀市立病院にどのような支援を考えているのかというご質問でございます。

 宇陀市立病院は、救急医療やへき地医療への支援なども含めて、地域の医療を支える中核病院として、長年地域住民の医療ニーズにこたえてまいりました。しかしながら、一部の建物につきましては40年を経過するなど、老朽化、狭あい化が顕著なことから、現在、新病院建設の準備を進めておられるとお聞きしております。一方、多くの公立病院と同様に経営状況が悪化するなど、医療機能の確保が厳しい状況にあり、独自の病院改革プランの策定が求められております。

 県としましては、プランに基づく改革の取り組みを支援してまいりたいと考えております。また、県といたしましては、地域医療等対策協議会の中で、県内の各地域における必要な医療が効率的に提供できる仕組みを検討することとしております。広域的な枠組みの下での公的病院間の機能連携も視野に入れ、全県的な検討をしてまいりたいと考えております。
中小企業の振興について
 次に、中小企業の振興についてお尋ねします。

 県の現在の財政状況の中で、企業立地条例制定は意味があると思っています。意気込みはよくわかりますが、具体的な取り組みをどのように示されるのか。企業立地は工場誘致のみを目指すものではありません。宇陀地域では農業と工業との連携商品の開発を試みる企業がありますし、自社の工場を拡張したいと望んでいる企業家がおられます。先日の新聞では、県の指導で集会を持たれました。積極的な姿勢を感じています。具体的な取り組みにつながるよう期待しています。大企業の誘致は大切に違いありませんが、現在ある企業がますます羽ばたけるよう支援することが、もっと大切で切実であると望まれるところです。

 奈良市においては中心市街地活性化法の指定を目指していますし、知事の発言されたコンパクトシティを県内のあちこちで築く上でも、商工労働部長の活躍は必要です。地域住民の方々の意識改革をするためには、まず県庁職員の意識改革から始めねばならないと思えてなりません。先日の奈良市商工会議所におけるフォーラムには県職員の方々もおられ、安心しました。独立行政法人の中小企業基盤整備機構のまちづくり推進は、個人の資格でも学習ができたり、みずからの意識改革を進めることができます。たとえ小さなまちであっても、みずからのまちをどのようなまちにするか、仲間とプランを考え、実行し、評価し、新たな行動へ結びつけていく、それぞれの地域の特徴を見つけ、生かし、育てることこそ、まちづくりだと思えてきます。若者の商店主や企業経営者に自信を持って仕事に立ち向かえるよう、行政、政治がサポートしなければならないと思っています。

 知事の地域活性、企業立地、産業、とりわけ企業誘致政策との関係で、中小企業の役割をどのような視点で見るかが大切なことだと思います。既にEUでは2000年に欧州小企業憲章を制定したと聞いておりますが、その精神は、中小企業をヨーロッパ経済の背骨、雇用の主要な源泉であり、ビジネス・アイデアを生み育てる大地と位置づけておられます。日本でも2004年版中小企業白書では、中小企業は過去も現在も将来も経済社会を先導する存在と記しております。今回の奈良県中小企業振興基本条例(案)は、このような視点でおつくりいただいたと理解させていただいてよろしいのでしょうか。
 また、県内の中小企業は、それぞれが集積した技術や多様な地域資源を活用して経営に頑張っておられ、経済の活性化と県民生活の向上に重要な役割を担っています。こうした中小企業を支援する施策を総合的に推進していくため、本議会には奈良県中小企業振興基本条例(案)が提案されていますが、これは、知事が奈良県経済における中小企業の果たすべき役割の重要性を認識していただいてのことだと感じており、条例の趣旨には大いに賛同するところです。この条例の趣旨にのっとり、具体的に中小企業の振興につながる施策が実施されることを期待しています。

 そこで、知事にお伺いします。中小企業の振興は、ひとり中小企業者自身のためだけではなく、地域社会の発展にも資するものであります。そして、地域社会が発展することで、中小企業もより発展していくという好循環が生み出されるような振興を図ることが重要であり、そのためには、地域社会が一体となって頑張る中小企業を応援していくことが必要と考えていますが、この点についてのご認識はいかがでしょうか。

 また、条例の実効性を高めていくためには、多くの中小企業者や県民の意見を聞き、いわゆるPDCA、プランニング(Planning)、ドゥ(Do)、実行するということです。それからCはチェック(check)、確かめるということですね。それからアクション(Action)、改めて行動を起こしていく、こういうふうなマネジメントサイクルを通じて、常に施策を見直し、質の向上が図られなければならないと考えますが、この点についてはいかがでしょうか、あわせてお伺いします。
知事の答弁
 私に対しましては、中小企業の振興についてのご質問がございまして、中小企業の役割についてのご質問がございました。

 県内中小企業は、ご指摘のように、地域経済の活性化のみならず地域社会の発展にも重要な役割を果たしていると思います。中小企業振興基本条例(案)におきましては、経営の向上に意欲的に取り組む中小企業者を社会全体で支援する旨を前文において明示しております。また、施策の効果的な推進のため、国や市町村、中小企業団体等との連携はもとより、より視野を広げ、この種の条例においては前例はございませんが、近隣の府県との連携においても規定しております。さらに、中小企業基本法にも明示のないような言い方でございますが、大企業にも協力を求める趣旨を条文に明記しております。

 奈良県の立地環境を翻って見てみますと、臨海工業地帯のようなものはございませんし、大きなまとまった土地はない状況でございます。したがいまして、小さくても力強く先進性があり、チャレンジする企業の立地が望まれるところだと思います。先日大阪で行いました初めての企業誘致のセミナーにおきましては、必ずしも大企業の方は多くなかったように思いますが、何人かごあいさつをさせていただいた中で、工場の建替えがあるとか、奈良出身だからとか、職住接近し過ぎて、もう少し広々した奈良へ移りたいとかといった具体的なお話がございまして、すぐにでも立地があればというようなお話がございました。条例案にも示しておりますが、このような状況もございますので、中小企業の誘致と振興を力強く行っていく必要があろうかと思います。その際、地域の人々と一体となったご当地企業の振興の推進を大事にしていく必要があろうかと思います。例えば宇陀市におきましては、地域の活性化にもつながると思いますが、特色ある地元企業の活躍を支援するということも大事かと思います。毛皮革事業、あるいは吉野くず、木材などにつきましては、市を含む地域の人々と企業振興戦略を協議できたら県としてもありがたいと考えておるところでございます。


 また、企業振興の方策についてのご意見がございました。

 施策を推進する上で、マネジメントサイクルというのは重要だと思います。幅広く意見を聞く、実行する、反応をチェックする、再実行を繰り返すことが振興の基本だというふうに考えております。基本条例の検討過程でも、現在幅広い組織・団体から積極的に意見を聞いたところでございます。それを具体的に振興するといったことにつきましては、企業立地推進なども含めた総合的な経済活性化策として奈良経済発展戦略を包括的なドキュメントとして取りまとめておりますが、間もなく公表したいというふうに考えております。この過程におきましても、250を超える企業・団体に意見聴取を行い、パブリックコメントも実施いたしました。また、議員は、職員の意識改革が重要だというご指摘もございました。今後も多くの中小企業者や県民の声を聞き、何か現場から得ていただくことが重要だと思いますので、常に現場に出向き、県民の目線に立って、地域と県民に役立つ仕事をする姿勢を職員が徹底して身につけることが必要かと考えております。

 また、ご指摘の、マネジメントサイクルを通じて施策を見直すべきという点につきましては、行政についても同様でございますが、当面の行財政運営に関する基本的な考え方というものをさきに公表いたしましたが、基本となる考え方として取り入れているところでございます。そのような考え方により、情報を積極的に広報して、県民のニーズを把握して施策に生かしたいというふうに県の行政についても考えております。また、中小企業の振興のためにそのようなサイクルの考え方が生きたものとなるためには、地域の経済活性化の具体的な施策を打ち出す、県が主体的になってもいいと思いますが、打ち出す、それを関係者とともに実行する、さらに一緒にチェックしていくということを繰り返す必要があろうかと思います。これからの県の中小企業の振興施策の実行に当たりましても、そのような考え方に基づきまして実行していきたいというふうに考えております。
動物へのマイクロチップ埋め込みについて
 次に、宇陀での新しい施設、うだアニマルパークが間もなく場内竣工を迎えようとしています。地元では、どのような施設ができるのか、不安が先に立っての工事でありました。地域の方々に、開園されたものをごらんいただければ理解していただけるのは早いと思っています。進入路についても、貴重な財産をご提供いただき、目下開設するべく地元の方々のご協力をお願いしていることは聞き及びます。県内各地の子どもから多くの家庭の皆様に至るまで、いい施設ができたと喜んでいただけるよう、地元の皆様のご協力をお願い申し上げます。それと同時に、今後の運営について、子どもたちに対する命の教育のための施設利用や、地元の意向を尊重する運営方法など、施設利用に活気が出るよう配慮されますよう改めて求めます。

 私は、うだアニマルパークを建設するに当たり、併設される動物愛護センターについて私なりの意見を申し上げてまいりました。それは、野犬、野良猫の頭数を減らすことが何より大切だということです。犬も猫もペットとして家族同様に飼育されたものであり、野良犬化、野良猫化させないための取り組みを進めようとの提言でございました。

 国は法律として、猛獣やは虫類などの特定動物にマイクロチップを埋め込むことを義務づけています。沖縄県の三つの村では、野良猫をつくらないよう条例を定めて、マイクロチップの埋め込みを義務化しています。法によってマイクロチップを埋め込んだ動物が、県内で飼育されたり持ち込まれることは当然あり得ます。国で埋め込まれたものを読み取る必要性も出てくることです。そして、条例で定めてはおられませんが、日本各地の獣医師会の方々が地域の中でマイクロチップを埋め込む処置活動をあちらこちらで展開されています。迷子犬や野良猫をつくらないための有効な手段として、高い評価を受けておられます。犬について厚生労働省は、狂犬病の予防注射が義務化され所有者が判明できると言いますが、すべてのペットの所有者が明確であるとは言えません。奈良県に現在どれだけのペットがいるのかわからないというのが現実の姿です。

 そこで、健康安全局長にお尋ねします。奈良県にはマイクロチップを読み取るリーダーと呼ばれる器具がどの程度備えてあるのでしょうか。また、ペットとして飼育するためにはマイクロチップを埋め込むことを義務づけ、動物と人間の関係を共生できるよう制度の構築を図ることを求めますが、ご見解をお伺いいたします。
健康安全局長の答弁
 ペット動物の登録につきまして、県内にマイクロチップを読み取るリーダーがどの程度備えられているのか。また、ペット動物の飼育にはマイクロチップの埋め込みを義務づけ、動物と人間の共生ができるような制度の構築を求めるが、それについての考えはどうかというご質問でございます。

 マイクロチップリーダーの整備状況につきましては、平成17年の動物愛護法改正におきまして、ライオンなどの特定動物に対しマイクロチップによる個体識別措置が義務づけられ、県におきまして一台整備をしております。今春開所予定であります動物愛護センターにも、さらに一台整備することとしております。

 また、このたびの法改正に記載されましたとおり、国が定めました基本指針に即しまして、今年度、本県の動物行政の基本的な方向性と中長期的な目標を明確化しました奈良県動物愛護管理推進計画を策定いたしました。この計画には、動物と人間が共生できる社会の構築を図る観点から、迷子動物の保護、飼育動物の遺棄防止などにつながるよう、マイクロチップの普及も視野に所有者明示を推進することとしております。しかしながら、マイクロチップの埋め込みの義務づけは、動物の飼育者に狂犬病予防法の登録義務と二重の経費負担を課すことなどの問題点もあり、県民、広くは国民の理解が必要でございます。また、マイクロチップの埋め込みの実効性を高めるためには、全国一律の対応が必要であると考えております。
山の日制定について
 さて、私は、山の日制定を主張してきました。山の日を国民の祝日として制定することを求める意見書が奈良県議会で採択されたこともありました。今回質問させていただく機会を得ましたので、改めて山の日を制定している他府県の状況を調べますと、四国4県が共通して四国山の日、山梨県のやまなし山の日、岐阜県、滋賀県、和歌山県、そして、都市だと思っていた大阪府まで山の日を制定しておられます。奈良県の多くの方々は、奈良は山の県だと思っておられるのですが、象徴としての役割を果たす山の日の制定がありません。吉野林業だ、木材産出県だとの立場はなくなってしまったのでしょうか。他府県の方が積極的な取り組みをしているように見えるのですが、いかがでしょうか。

 山の日について、奈良県として取り組んでいただきたいと思いますが、農林部長にご答弁をお願い申し上げます。
農林部長の答弁
 山の日の制定について、県として取り組む必要があると考えるがどうかというご質問でございます。

 山の日の制定につきましては、議員お述べのとおり、平成17年2月の県議会で、「7月の第3月曜日を国民の祝日「海の日・山の日」として制定を求める意見書」が全会一致で可決、採択されております。県といたしましても同様の認識のもと、農林水産省に対し、7つの海なし県で構成する森林の公益的機能拡充推進協議会が連携して要望活動を行うとともに、県独自でも継続して政策提案を行ってきているところでございます。一方、森林環境税導入を契機に、山の日と時期的な整合がとれ、多くの方が野外活動に参加しやすい夏休み期間を、平成18年5月、山と森林の月間に制定し、森林環境の保全意識の醸成に取り組んでいるところでもございます。さらに今年度からは、小学校児童への環境副読本の配布や、企業による森林整備へのPRなど、広く県民の皆様に森林活動への参加機会の拡大に取り組んでいるところでございます。

 議員お述べの山の日の制定につきましては、今後ともこうした経緯を踏まえ、国の動向に注意を払うとともに、県議会のご意見も承りながら、制定の必要性をはじめ、制定日及び制定方法など、総合的に検討を重ねてまいりたいと考えております。
有害動物駆除について
 次に、都市部の方々には理解しにくいことですが、私の住む宇陀地域、そして吉野や奈良市山間、山辺郡においては、鹿、イノシシ、猿、アライグマなど有害動物に困っています。いろんな手段を講じ、補助金を出して撃退や捕獲を試みてきましたが、残念ながら被害はふえる一方です。田や畑の作物のみならず、大変な労力を費やして築いた千枚田の石垣を崩したり、猿に至っては、家の中の食べ物、屋根瓦を傷めたり、何とも情けない状況になっています。動物たちは一定の場所にいるわけでなく、巡回、移動をするため、個々個人それぞれが対策を行ってもらちがあきません。相当強い意思で、ある一定の地域全体としての面的対策を行わないと、住民の被害はふえ続けることでしょう。過去には、猿一匹駆除すると幾らかの対価が払われました。柵や、おりや、わなや、網や、猟銃などを試みても、なおかつ被害の悲鳴が絶えることはありません。

 従来以上の対策を求めます。有害動物の駆除について奈良県の取り組みを農林部長からお聞かせください。
農林部長の答弁
 有害動物対策について、被害がふえる一方であり、従来以上の対策を求めるが、県の取り組みを伺いたいとのご質問です。

 有害動物の被害対策は、捕獲・駆除はもとより、侵入防止、人材の育成確保、農山村地域の環境改善など、総合的、継続的な取り組みが重要と認識しております。市町村長が地元猟友会の協力を得て行う有害鳥獣駆除事業につきましては、県として助成を行っておりますが、近年狩猟者が減少、その育成・確保のために、今年度から狩猟免許の新規取得に向けた研修を実施しているところでございます。新年度新たに、ニホンジカ、イノシシについて生息状況等の調査を実施し、捕獲条件の緩和など頭数管理を行い、被害の軽減につなげていきたい考えです。また、遊休農地解消や基盤整備の取り組みにあわせまして、被害防止対策等にも新たに取り組む予定をしております。さらに、新たに制定されました特別措置法に基づき、被害対策に取り組む市町村に対しまして、被害防止計画の策定等について、県としても積極的に支援してまいりたいと考えております。今後とも、鳥獣被害の軽減に向け、市町村や関係機関との連携を強化し、総合的な取り組みを推進してまいります。
木材の需要拡大について
 続いて、木材の需要拡大についてお尋ねいたします。

 需要には民間需要、官公庁需要がありますが、官公庁需要が少ないように思えてなりません。自治体行政の比較論は、インターネット社会になって、関心のある人ならだれでも行える時代になりました。先ほどの山の日の制定状況も私はインターネットで調べましたし、先ほど申し上げたとおりです。他府県には、それぞれ工夫しての木材利用促進策を講じていますが、奈良県の実需を伴う利用策はどのようなものでしょうか。身近な例として、宇陀土木ではガードレールに半割の丸棒を採用されていると聞きますが、今後コスト削減等の改善が必要と考えます。県下で大幅に採用されることを望む気持ちから、積極的な採用への働きかけを強く求めます。ガードレールのみならず、他府県ではいろんなところで木材を使っています。奈良県でも利用方法を積極的に生み出していただきたい。県の考えはいかがでしょうか、農林部長にお伺いいたします。
農林部長の答弁
 木材の需要拡大につきまして、木材の官公庁需要について、奈良県でも利用方法を積極的に生み出してもらいたいが、県の考えはどうかというご質問でございます。

 公共施設や公共土木工事への木材利用につきましては、直接的な需要創出だけではなく、地域のシンボルとして、木材利用の意義を啓発する効果や、民間利用を促進する上での波及効果が期待されると考えます。本県では、公園トイレや、先日開設した県民ホールの観光情報コーナーなどへの木材利用や、公共土木工事への木製まく板型枠、木製ブロック等の利用を促進してきたところでございます。県庁舎屋上緑化広場整備にも、ベンチ等につきまして県産材を活用する予定をしております。また、新たな利用方法として、木製防音浄化壁や木製歩行者自転車用柵など、間伐材の用途開発も進めてきており、新年度には、今年度においてデザインを公募した木材を活用した製品の試作や実用化の検討を予定しております。今後とも、森林技術センターでの木材の不朽性の向上試験など、木材利用技術の試験研究を進めながら、利用分野や利用方法につきまして幅広く検討し、木材の特性や経済性等も勘案しながら、関係部局の連携のもとで、効果的な木材利用に努めてまいりたいと考えております。
総合評価落札の効果について
 入札・契約制度の中で新しい総合評価落札方式を実施してこられました。この制度は、工事施工時に品質を保つ施工の仕方や工事現場周辺に対する環境対策に至るまで、前もって書類で提出し、施工業者としての能力を示し、施工内容を約束するものだと認識しています。受注業者にとっては、みずからの企業姿勢が問われることになるわけです。計画と施工の関係について責任が発生します。それだけに企業の入札への意気込みを問うことになり、効果があったことだと思います。

 総合評価落札方式を1年間行ってこられましたが、その効果、評価をどのように見ておられますが、土木部長にお尋ねいたします。
土木部長の答弁
 入札・契約制度の中で新しい総合評価方式を一年間実施してきたが、その効果、評価について伺いたいという点でございます。

 総合評価落札方式は、価格のほかに企業の技術提案及び施工能力等を評価の対象に加えまして、価格と品質の両面からすぐれた内容で契約するもので、あらかじめ施工に必要な技術力を持たない業者に対しては応札の機会を与えない方式としているところでございます。昨年度は4件の試行を行いまして、今年度は1億円以上の工事73件、あわせて77件で実施を行いました。うち2件が、工事が竣工してございます。効果につきましては、今後総合的に検証することとしてございますが、竣工いたしました2件におきまして検証してみましたところ、コンクリートの品質管理など、積極的な提案が見受けられ、企業の工事施工に対する意識も高く、よりよい品質のものが確保されたところでございます。また、発注者側の監督の立場から見ても、周辺住民への配慮、安全対策も十分であり、円滑な事業の推進につなげることができたと評価しているところでございます。このように、品質確保のために一定の効果があらわれたと考えておりまして、来年度は対象工事を5000万円以上の工事へと拡大していきたいと考えてございます。一方、入札手続が長期化するなどの課題もございますので、事務処理の改善もあわせて図っていきたいと考えてございます。
(要望)宇陀地域の道路整備について
 道路に設置されて、夜間道路の端を黄色や赤や青の光反射物が並んでいます。いわゆる光り物です。宇陀では、山間部のカーブの多いところ、照明施設やガードレールのない道路等、運転していてもひやりとするときがあります。しかし、いわゆる光り物が取りつけられていると、その効果は非常に大きいものがあります。カーブの曲がりぐあい、道路幅など、高齢化社会にあって、夜間の視力低下している運転者がますます多くなる中で、光物の果たす役割は大きいと思います。今後も大いに推進されることを要望いたします。

 道路財源の確保が困難な時代になってはいますが、国土の均衡ある発展は当然の権利です。奈良県の発展に道路網の整備はまだまだ大切なことです。例えば宇陀市内においては、近年開通した榛原トンネルは、檜牧でT字路となっています。しかし、大型車両の通行や、宇陀市中心部を取り巻く環状線としての道路網の効果を上げるための方策として、国道370号への連結を必要としています。当然トンネルが必要であり、事業化路線として進めるべきと地元自治体から奈良県に要望が出てきます。目下調査費をつけていただいていますが、事業化に向けての取り組みをお願いします。

 県道吉野室生寺針線について、石楠花トンネルができ、国道369号との関係については、辰尾橋を含む上田口地域の改良が早期に望まれるところです。上田口地域について引き続き取り組みされますよう、計画の連続を望みます。御杖では県道土屋原飯高線が手つかず、県道榛原菟田野御杖線、桃俣地区では国道369号との接続点、桃俣の集落への入口の改良を進めていただいていますが、早期に改良していただきたい。国道369号では、宇陀市榛原区高井から自明に至る間の道路改良を、また国道369号香酔峠の登坂車線改良工事が継続的に行われていますが、頂上まで早く到達できるよう努力されますようお願いします。

 奈良県を大きな立場で見るとき、奈良県北部では西名阪道路、名阪道路が東西にその役割を果たしていますが、今日、中南和地域において三重県への交通量が増加しています。中和幹線の桜井市慈恩寺から東に向かって国道165号における4車線化や、南阪奈道路の東端から東部への路線延伸はぜひとも必要とされます。この構想は、奈良県を東西に横切り、大阪と三重を結ぶ役割を担う幹線道路であり、交通渋滞を解消する、生活に密着したものであると思うので、県におかれてはぜひとも具体的な取り組みをしていただきますよう要望します。

 これらの要望を実現するためには、道路特定財源の確保が必要であるとの認識を持っていることを申し添えます。
(要望)警察再編計画について
 警察再編に関して要望します。

 昨年議会に提案された警察の再編計画は十分に慎重に検討し、実施しようと準備され、第一次の再編後の業務が本日より開始されます。当初の計画を大切にされ、県民の信頼に報いていただきたい。

 そして、今、私の選挙区である宇陀地域では、宇陀署を存続させていただきたいとの強い要望が再々寄せられます。大宇陀署と榛原署の統合により、所轄管内の方々は警察行政への協力は既に行ったとの認識です。宇陀署管内住民の熱い思いを、県警察本部長はじめ関係者の皆様にご理解賜りますよう重ねて要望申し上げ、以上、壇上からの質問とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。



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