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会議録




平成11年9月 第250回 定例奈良県議会 会議録



〜質問全文〜



質問の要旨

  • 過疎関連法について
  • 過疎地域活性化計画の評価について
  • 森林災害復旧の進捗状況について
  • 県産材の品質確保の取り組みについて
  • 水道施設未整備地区の支援について
  • 宇陀郡内における河川の水質改善について
  • 農業集落排水事業について
  • 知事部局での女性の役職登用について
  • 母子家庭への貸付け支援について
  • 介護保険制度について



 議長のご指名をいただきましたので、発言させていただきます。

 質問に入る前に一言ごあいさつを申し上げます。私は、宇陀郡内をはじめ多くの皆様よりご支援を賜り、議員としての第一歩を踏み出させていただきました。 とりわけ先輩議員の一方ならぬご指導をいただきましたことに、心より御礼申し上げる次第であります。選挙時に公約いたしましたことの実現はもちろんでありますが、 皆様方の期待にこたえ、奈良県政発展に向け努力することを改めてお誓い申し上げ、質問に入ります。

 私の選挙区は宇陀郡であります。宇陀地域をご紹介申し上げますと、私たちの宇陀郡は事業所が少なく、勤労のために早朝出発し、夜遅くの帰宅を強いられるサラリーマン世帯によって支えられています。 昼間の人通りはまばらであります。地元で働く人々は、先人たちが築き上げた財や社会の中で必死になって守り続けようとしている姿と見えます。宇陀郡を形成していた多くの人々は大都会へと転出し、 まさに過疎地域となってしまった地域社会であります。人口は今や、減少しようにも減少しようがないと言えるほどの状態となっています。そして、過疎地域の村々はこれといった産業もなく、 厳しい財政運営を強いられていることはよくご存知のとおりであります。宇陀郡に限らず、みずからの村職員の給与すら生み出せない地域のある中で、これからの山間過疎地域がどのように発展すべきなのか、 ビジョンをお持ちでしょうか。

 国の施策の一つとして過疎法があります。指定を受けている室生村、曽爾村、御杖村においては、事業を行おうとするとき、補助金をもらい、自主財源がないため債券を発行することを認めてもらう、 そしてその発行した債券に見合う額の大半を交付税という形で国からお金をもらうというシステムであります。ささやかな収入しかない過疎地にとってありがたい制度であることには違いがありません。 しかし、過疎債を発行しなくとも運営していけるための方向づけが必要であります。そのためには今置かれている過疎地の現状認識が基本となるわけでありますが、 国の過疎問題懇談会による「これからの過疎対策について(中間取りまとめ)」の要旨を見ると、過疎地に対する認識は誠に甘いと言わざるを得ません。いわく、都市ばかりでなく、 人口は少なくても豊かな自然や多様な生活文化をもつ地域社会を維持発展させることは、我が国の風格ある美しい国土を創造する上で重要。また、生活条件にいまだ大きな格差を残している過疎地域を、 国民一般が、二十一世紀にふさわしく、豊かな自然環境のもと、広い空間の中でゆとりのある多様な生活様式を実現できる場としての整備をすることは、都市地域に居住する人々にとっても豊かな生活を実現するために必要。 また、情報化等、社会資本整備の今後の進展の中で、経済的にも地域自立への挑戦をすべき。まだほかにもありますが、このような要旨としての現状認識では、私たち過疎地域に住んでいる人たちに対する真っ当な政策認識なのかどうか疑わしくなります。 過疎地に住む立場というより、都市生活者に気遣う余り、過疎地域を壊しかねない認識に思えてなりません。

 そこで、柿本知事にお尋ねいたします。新過疎法に向け、奈良県における過疎の課題をどのように認識し、現状をどのようにとらえていかれるのか、お答えいただきたい。

 また、平成二年より今年までの過疎地域活性化特別措置法の最終年として、幾つかの特徴としての目標を掲げておられます。一つとして、自然や歴史、文化、資源等を活用した地域づくりや地域間交流の推進、 二つとして、農林業後継者の育成や高齢者の社会参加など、地域を担う人材の育成、三つとして、公益的機能を持つ森林等の保全などの施策を推進と記載されております。このレポートは奈良県と関係町村長会によるものですが、 そこにあわせ記載されている奈良県予算投資額の中で、交通通信体系の整備が全体の三分の二を上回っています。他の項目についてもう少し配慮をすべきであると考えます。 そこで、知事ご自身は、後期の過疎地域活性化計画をどこまで達成できたとお考えですか、その評価をお聞かせ願います。そして、その評価に基づいて、新過疎法制定に向けての決意をお伺いいたします。


 次に、林務長にお尋ねいたします。

 過疎地域での土地利用の方法は、農地及び山林がほとんどであります。とりわけ山林の多さは明白であります。その山林で生活する林業を取り巻く現実は、もはや悲惨といっても過言ではありません。 就業者のほとんどが高齢者であります。そして、昨年の台風七号による森林災害は、多くの林業に携わるものに希望を失わせたと言えます。災害復旧を目指し取り組む関係者の努力には敬意を表しますが、 いまだに被害を受けたまま、そのままの状態が目について仕方がありません。県では各地域の災害復旧に取り組まれていますが、その作業の進捗状況はどのようでありましょうか、お尋ねいたします。

 先日来の大型の台風18号は、日本海へと進み、奈良県での被害をもたらさなかったので一安心でありますが、荒れたまま放置されている山林は、次の台風でその被害をますます膨らませてしまうことになり、 まさに二次災害の起きる可能性を秘めています。そこで、被災林地の早期復旧を促すための対応策をお伺いいたします。そして、災害地の復旧造林について、杉やヒノキと言う樹種だけではなく、 多様な森林造成という観点から広葉樹を進める立場もありますが、奈良県として積極的に取り組む意思があるか、お伺いいたします。

 今、奈良県の丸太木材市場は、高い材、安い材が入り乱れて混乱いたしております。そこからできる柱や板の製品も、その品質に大きな開きが生じております。その製品化された商品の中には品質の劣る商品もあり、 それらが県外へ売りさばかれていますから、奈良県木材の評価は下がっております。その認識は持っておられるでしょうか。このままの状態を続けることは、奈良県の木材業界の信頼を失わしめ、悪い結果をもたらし、 ますます山林地帯の疲弊につながることでありましょう。私は、奈良県産の木材が流通業者や消費者から正当な評価を受けるよう方策を講じるべきであると考えます。既に九州の二つの県では、品質のテストを行い、合格証を張りつけた商品が出回り、 都市部での信頼を得ています。奈良県内でも製材品の品質表示が一部行われているようでありますが、奈良県としてもっと積極的に取り組みその普及を図ることが、県産材の信頼回復につながることと信じます。 そこで、これらの方策について奈良県としてどのように取り組んでいくのか、答弁をお願いいたします。

 林業は、自然の力で大きく左右される産業であります。植栽した苗木が収益を上げるまでの期間は、短期であっても数年、目的にかなう大きさや太さにするためには、何十年、何百年と撫育する必要のある産業であります。 林業の再建を果たすため、今新しい血潮を入れようとしても、林業に取り組んでおられる方々以外に、どれだけの新人が参入することができましょうか。このままでは林業は成り立たないと嘆いているのが現実の姿であります。 林務長の奮起を促し、ご活躍されることを期待いたします。


 次に、健康局長にお尋ねいたします。

 実は、宇陀郡内を歩いておりますとき、我が家に水がなくなったと言われる方がおられました。軽四トラックにタンクを積み込み、もらい水をせねばならないとのことでありました。 私たちの宇陀郡内では、いまだ、自分の家の裏山から流れてくるわずかな水をホースで自宅に引き込んで、生活用水としている方々がおられます。日常のことになっているから、なれているから、これが当たり前になっているからと、 不満が出ないのかもしれませんが、水道の恩恵を受けている人々から見ると、あまりにも不自然であり、不便な生活を強いられていると言わざるを得ません。生活基盤の整った方々から見ますと、端々のことに思えるかもしれませんし、 夕食の御飯を炊く水のないことに気づき、驚いたり慌てふためく気持ちはご理解を得られないかもしれません。しかし、水に不自由している地域にお住まいの方々に手を差し伸べる必要があると信じ、私は質問いたします。 現在、ほとんどの地域に水道が引かれています。

 そこで、質問いたしますが、水道の普及率はどの程度ですか。また、残る対象人口が少ないということは、未設置地域は通常それだけ設置条件が悪いということになります。県営水道のほか、対象人口が少ない場合、簡易水道が引かれますが、 いまだ給水を受けていない地域に給水するための施設整備や施設拡張の要件とは一体何なのか、一般論としてで結構でございます、お答えいただきたいと思います。

 次に、先ほど申し上げた、集落とまではいかない戸数の少ない地域に対し、生活用水を確保するため簡易タンクの設置に補助を出すなど、何らかの従来にない新しい支援策を行うべきであると考えますが、この点に対する考えをお聞かせ願います。


 次に、土木部長にお伺いいたします。

 生活に使われた後の排水についてであります。水はいずれ川に流されることになるのですが、川に流れるまでの処理、川を汚さないための処理方法としての行政側から推奨されている方策は、 合併浄化槽、農林省補助事業としての集落排水事業、そして、建設省の補助事業としての公共下水道があります。いずれの事業も、国の定める水質基準を達成するための方法もあわせて持っております。 しかし、残念ながら、宇陀郡の水湿測定地点の統計記録を見ますと、上流域にある宇陀郡の水が汚れております。川そのものが原因とは考えられません。どこからかの排水される水に問題があると思います。 この水質を改善するための方策は、県として取り組まれていると思いますが、宇陀郡内における河川の水質改善に対しどのような対策を行っているのか。また、啓発活動についてどのように取り組まれているのか、お聞かせ願います。

 今、申し上げました排水に関して、農林部長にお尋ねいたします。

 宇陀郡内におきましても、幾つかの農村集落排水事業が行われています。また、現在進行中の箇所もあります。下水道整備という目的は同一でありますが、その地域の状況により、農業振興地域では農業集落排水事業でなされておりますが、 その排出基準はどのように設定されているのかをお尋ねいたします。

 また、農業集落排水事業で下水処理に取り組もうとする地域は、都市部に比べ、その地理的条件や集落の密集状況の違いなどから建設コスト等が高くなると考えられますが、県としてどのような対策を講じているのか、お尋ねいたします。


 さて、私は、男性の方々のみならず、多くの女性の方々のご支援をいただきました。かつて政治が男性社会のものであり、参政権すらなかった時代のことを考えますと、隔世の感があります。 過去に、加藤静江、市川房枝という女性議員がおられました。日本の女性地位向上に尽くしてきた大きな柱のお二人でありました。その中の市川議員を支えてきた人の一人が、先日まで民主党の代表をいたしておりました管直人、その人であります。 それだけに、彼の発言する男女共同参画社会を築く政策は重みがあり、精彩を放っておりました。そこで、私が所属いたしております会派、民主党が推進しております政策の中で、男女共同参画社会の推進についてお尋ねいたします。

 柿本知事は、この課題について積極的に取り組む姿勢を持っておられると伺っています。平成元年から平成十一年までの十一年間における女性職員の採用状況と、現在の女性管理職登用状況は、ことしを含め上級職の女性の採用数の合計で204人、 全体の23.2%が女性であり、今試験中のため、ことしを含まない初級職の女性の採用数の合計は241人、全体の79.5%が女性であります。つまり、総採用数は1181人、そのうち445人が女性であります。 しかし、残念なことに、ことしの女性管理職の登用率を見てみますと、職員総数の18.6%が女性でありながら、係長級で6.7%、係長より上の管理職全体で5.2%、特に、ごらんのように部長は0%であります。女性部長はおられません。 人事権は知事ご自身であります。男性職員と同じように登用するためにはさまざまな問題点があるのではないでしょうか。女性職員が意欲を持って仕事をするために、職員全体の意識改革をする必要性をお感じになっておられませんか。 柿本知事の意向を酌む担当者として、女性の役職者の登用に対する今後の取り組みについて、総務部長の答弁を求めます。

 同じ女性にかかわる課題でありますが、福祉部長にお尋ねいたします。

 最近は、母子、寡婦の家庭がふえてきています。私たちより若い方々は、戦後生まれ、民主主義教育の中での成長であります。新しい社会現象としてふえつつある母子、寡婦の方々には、自立に対する強い願望を持っておられますが、 民間金融業では、母子家庭が自立をしようとしても融資を受けることが困難であります。母子、寡婦の方々に対する県としての貸付枠があることを最近知りました。しかし、残念なことに、自立のための貸付額は少なすぎると申さざるを得ません。 女性だから投資をすることはない、どこかへ勤務をすればいいなどとお考えにならないと思います。そこで、貸付け制度の周知を図るとともに、貸付け限度額を増額すべきだと考えますが、いかがでしょうか。


 続いて、福祉部長にお尋ねいたします。介護保険についての質問であります。

 私は、この一般質問に関して、郡内の方々にアンケートをいたしました。介護保険が始まろうとしている。自治会等で説明会が催されていますが、理解をされていますか。また、保険料金の額についての感想を問うものでありました。 介護保険のアンケートの結果、肯定的に是認し賛意を表明したのは7%にしかすぎず、ほとんどの方々は、介護を受ける状態にありながら、生活の糧である老齢退職年金から保険料を支払わねばならないのはつらいとか、 長期的に見て、今の健康保険と同じことになるのではないかとの危惧を持っているものばかりでありました。この結果については、私は、介護保険制度を周知広報する方法が不十分でないかと理解いたします。 もちろん、各市町村においては精いっぱいの努力をしていただいているに違いありません。しかし、市町村の組織体制を見ると、自治体の中には、周知をしていく上で必要な職員の確保すらできないところもあり、その取り組み方法についてはさまざまであります。 ただ市町村に努力せよと迫ってみても、十分な結果を得られないのではないかと思われます。県から各自治体へ周知広報する取り組みは、ビデオをつくって渡してある、チラシを渡してあるだけでは不十分だと考えます。 そして、広報を担当するほとんどの職員は、昼間は通常業務を行い、夜は説明会へと過重な業務を強いられているのではありませんか。何らかの応援体制をとっておられますか。 そこで、県民の理解を得るためどのような広報活動をしているのか、今後の取り組みはどのようにするのかをお尋ねいたします。

 次に、介護保険のサービスについてお尋ねいたします。先ほどの過疎の課題にもかかわりますが、奈良県の半分以上の面積は山間部であります。そして、過疎山間部は十分なマンパワーの得られない地域であります。 このような地理的条件の中で、奈良県内でサービスの地域間格差は起き得るのではないでしょうか。奈良市住民と同じサービスを取り扱う業者が地元山間部になかった場合、その介護を受けようとすれば、遠方よりの往復の交通費は誰が負担することになるのでしょうか。 宇陀郡一円を営業範囲としている業者さんは、都市部の業者と比較して、集落が幾つにも別れているため、移動距離が長く、その分コストがかかることになり、事業者としての運営が苦しくなりませんか。 運営に影響を与えないようにと、従業者への過重労働を強いることになりませんでしょうか。そして、自治体の財政基盤が弱いため、低水準のサービスで辛抱するということにならないでしょうか。そこで、このようなサービスに対する心配を払拭するために、 過疎地域等介護サービス基盤が不足し、民間事業者の参入についても期待ができない地域での介護サービスについて、どのように対応されますか。答弁を求めます。

 さて、この介護保険の運営は、全体の半分を保険料で、残りの半分を国、県、市町村で負担することになっています。そこにはかなり重大な課題が内在しているように思えます。 資料としてお配りしていますグラフをごらんいただきたいと思います。私たちの宇陀郡の中で、人口増加地域であります榛原町、過疎の村であります曽爾村と、奈良県全体における年齢別人口のグラフであります。 それぞれの地域の年齢グラフが、二十年後の位置と重複させてあります。六十五歳以上の介護受給者の増加は歴然としており、四十歳から六十四歳までの保険料を負担する人口の状況は、ほぼよく似た状況とごらんいただけます。 この状況は、将来の介護保険料が引き上げられる可能性が強いことを示しています。言いかえれば、そこで質問させていただくのですが、現在の人口調査では高齢者人口の増加により介護対象者が増加すると予想され、 個人の保険料の負担が増加すると考えられるが、対応策はどうでしょうか、お尋ねいたします。

 ご担当の方にとって、目下は現制度を理解してもらうことに全力を注ぐことが職務とお考えいただくのは結構なことなのですが、厚生省に対しても、内在する課題を指摘し、県民の不安を解消すべく努力をしていただきたいと思います。 そこで、この点に対してのお考えをお伺いいたします。

 また、制度として当然のこと、仕方がないとお考えかもしれませんが、わずかな年金を生活の糧としている人たちにとって、この介護保険を受けることが一割の負担につながり、もろに生活を切り詰めなければならないことを心配しておられます。 年金生活者等の低額所得者の保険料負担は過重になると考えられるが、これらの人々に対する助成措置等はどうなるのか、お答えください。


 次に、土木部長に要望いたします。

 宇陀郡選出の同僚議員がさきの県議会で質問と要望をいたしましたので、私からは、次の諸点について強く要望いたします。特に、女寄峠のトンネル、西峠の三車線化、曽爾村への栂坂トンネルの早期着工、 先日トンネル着工をいたしました国道369号榛原バイパスの工事の促進、国道370号の第二次改良、公園の整備、歩道の設置、ガードレールの整備、地方道改良の一部分未改良残存箇所の解消、河川の整備、道路幅より狭くなった橋りょうの改良、 歩道の整備、下水道の推進、急傾斜地対策などは切なる要望であります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上、宇陀郡内の抱えているテーマを申し述べました。県政の中の課題として、知事並びにご担当部長より積極的なご答弁をお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。



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