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会議録




平成12年6月 第253回 定例奈良県議会 会議録



〜質問全文〜



質問の要旨

  • 行政のトップの発言について
  • 少子化 ・ 保育問題について
  • 単位制 ・ 通信制高校について
  • 青少年への学校教育 ・ 社会教育の施策について
  • 近鉄八木駅のエレベーター設置について
  • 婦人就業サービスセンターの業務について
  • 道路特定財源について
  • 県の女性政策について
  • 県職員の採用にかかわる国籍条項の撤廃について
  • 「世界に光る奈良県」の内容について
  • 市町村社会福祉協議会の役割について
  • 市町村合併について
  • 地方分権化に伴う自主財源の問題について
  • 国勢調査について



 議長のご指名をいただきましたので、私の所属する民主党 ・ 市民連合を代表し、発言させていただきます。

 宇陀郡内においては、御杖村では畜産基地の建設が大いに進み、大宇陀町では山林の崩壊を防止するための砂防工事が取り組まれています。 そのほかにも各地域において、県各部局や各市町村長をはじめ関係各位の努力による地域基盤整備が進められつつあります。 地域住民の願いがかなうよう、皆様方のご協力をお願い申し上げます。


 さて、昨年の九月議会におきまして、初めての質問をさせていただきました。そのとき、選挙時に公約をいたしましたことの実現はもちろんでありますが、 皆様方の期待にこたえ奈良県政発展に向け努力することを改めてお誓い申し上げますと申し上げました。気持ちは今も変わっておりません。 大きな公約の一つは、清潔な政治を行うということであり、いま一つは、地域の発展に尽くすということでありました。そして一年を経過した今日、 公約の実現に一層の努力を傾けてまいる所存であります。

 既に国政におきましては衆議院が解散され、まもなく総選挙が始まろうとしています。日本の将来を託するにふさわしい人物を選ぶ責任を私たち県民一人ひとりが担っております。 県民の良識を二十五日の投票日に託してくださることを信じ、有権者の方々が棄権されることのないように心から訴えたいと存じます。 また、県内選挙管理委員会の関係者各位におかれましては、目下大車輪で準備作業を進めていただいていることと存じます。棄権防止に対して十分アピールされますようお願い申し上げます。

 衆議院選挙の議論の焦点は、急に降ってわいた発言、森総理の「天皇を中心とした神の国」発言であります。本来ならば経済問題、硬直化した財政建て直しの問題、 国家行政機構の再編、地方分権の方向性の問題など、二十一世紀を展望して国民の意思を明らかにすべき選挙でなければならないはずであるにもかかわらず、 石原東京都知事の自衛隊での「大震災などの混乱を機に三国人が騒擾事件を引き起こす可能性がある」というべっ称発言や、既に定着している民主主義政治の中で一国の総理の「神の国」発言は、 時代認識を大きく踏み外していると申さざるを得ません。一番迷惑を受けているのは、日本国の象徴として国事行事に心を砕いておられる天皇陛下ご自身ではないでしょうか。 それとも、神の国にしたいとの天皇陛下や宮内庁の意向を受けての発言であるのでしょうか。憲法論議を国会でしようと試みているとき、不必要な疑心暗鬼まで生じさせる発言は、誠に残念であります。 知事におかれましても、今年のメーデー大会のあいさつの中で、支那事変との言葉を、多少躊躇しながらも使われました。既に抗議も受け、また釈明しておられます。 政治家の発言以上に、行政トップとしての発言の慎重さが必要と存じます。神の国等、行政トップの発言について、知事のご感想をお伺いいたします。


 私たち会派は、昨年十一月に行われました知事選挙におきまして、県民の福祉の増進や安心や豊かさを求めるために十三項目にわたる協定を結びました。 その内容全体は知事のご理解をいただいているところでありますが、議場の諸先輩、そして県民の皆様にご理解をいただくために、今回そのうちの数点、 少子化、教育、福祉、雇用、道路等の課題につきまして、どのように取り組んでいただいているのかお伺いいたします。

 まず初めに、「ますます進行する少子化傾向と高齢社会は、二十一世紀前半には人口の減少を生じさせ、我が国の構造的な変化をもたらすことは必至の情勢である。 この変化に対応し、より一層の行財政改革と財政基盤の確立に努めるとともに、小児専門病院など多様化する県民ニーズにこたえる奈良県政づくりを進めます。 また、少子化対策を充実させるために、保育時間の延長、0歳時保育の推進、駅前保育所や民間保育所の開設の支援などに努めることとします」となっています。 私たち県民にとって身近な問題である小児専門病院、保育の問題等について、既に同僚議員からの質問にあったところではありますが、知事の今のお考えをお聞かせください。

 次に、「三十人学級の早期実現や単位制 ・ 通信制高校及び推薦入学制度の積極的な推進で、現行法制度上可能なゆとりある教育に努める。 また、今後の県立高校のあり方については、各方面の意見を聞きながら、早期にその方向性を示すこととする。学校に心理学や精神医学の専門家の配置が必要になっているほど、 青少年の心の問題が大きな課題となっている。専門家によるカウンセリング体制の強化と、家族、教育関係者による研修活動を強化することに努める」と決めました。 三十人学級については、出口議員が先ほど質問されたところでございます。私は、単位制 ・ 通信制高校について、教育長のお考えを伺います。

 また、後段につきましては、最近の青少年による異常な事件が多発しています。マスコミによって伝えられる、目や耳を覆いたくなるような青少年事件の数々に驚き、早急な対応を求めるところであります。 この項目については、幸いにして奈良県内では大きな事件は発生していませんが、多くの青少年の方々が同じような悩みを持っているのではないかとも考えられ、学校教育、社会教育、両面にわたる施策をお伺いいたします。 そして、県立高校のあり方について、教育は知識の詰め込み競争ではないし、その立地環境は、より便利だという条件によって決められるものでもありません。 どうか私たちの意見にも耳を傾けていただくことと理解いたしております。どうぞよろしくお願いいたします。

 福祉に関しましては、「障害者や高齢者、病者−病気の人のことですが−にやさしいまちづくりを積極的に進めることに努めるとともに、 JRや近鉄の県内主要ターミナルに早急にエレベーターの設置ができるように努める」となっています。この事業は奈良県の北西部に偏っているわけですが、 私といたしましては、県内各地より県リハビリセンターでの治療を受ける方々の利便性を考え、乗換駅でもあり中和の最主要駅である近鉄八木駅にエレベーターの設置をすべきであると考えます。 行政側から鉄道会社と話し合いをしていただいているでしょうか、福祉部長にお尋ねいたします。あわせて、設置を切望いたします議員として、関係者のご努力をお願い申し上げます。

 また、雇用について、「深刻な雇用状況に対して、さらに具体的な雇用対策を講じていくこととする。また、ベンチャー企業育成や中小企業を支援する具体的な施策を講じることとする」と決めていただきました。 婦人就業サービスセンター内でのパートコーナーでいままで紹介業務が行われていましたが、この四月からは県の求人の展示業務のみとなっており、求人票は張り出されていながら、 職を求める女性の人影がまばらという状況であると見受けます。婦人就業サービスセンターで展示業務が行われていることの広報周知はどのようにされていますか、 また障害者対策はどのようになっているのでしょうか、商工労働部長にお尋ねいたします。

 道路に関して、「京奈和道の積極的な推進を図るとともに、県内の交通基盤整備を推進し、公共工事の優先度と必要度をより明確化していくことに努力する」と決めております。 現実の我が宇陀郡は、まだまだ道路改良を行わなければならない個所が数多くあります。山間部の生活はおくれておってもよいということでもありません。 また、都市部生活者とひとしく生活水準を保てるようにすべきと考えておりますので、どうぞご理解いただきたいと存じます。そして、最近新聞に掲載されておりましたが、環境税導入の一環として、 揮発油税など道路整備に使い道が決められている特定財源を一般財源化するとの報道がなされています。この件について、道路整備が十分でない奈良県にあって、知事はどのようにお考えでしょうか。 環境に対する予算措置は重要なことですが、道路財源の確保を前提と考えていますが、いかがでしょうか。知事にお尋ねいたします。

 女性に関する項目として、「婦人相談所の相談件数の増加やセクシュアル ・ ハラスメント、ドメスティック ・ バイオレンス、子育て、就労、介護、女性の社会参加の機会均等など、 男女共同参画社会の実現に向けては、多くの課題を抱えて本格的な取り組みが求められている。より一層の努力を重ねていくこととする」と規定しています。 知事は、今日の女性に関する課題のそれぞれのどこにポイントを置いておられるのでしょうか、数点に焦点を合わせてお答えください。

 職員採用について、「県職採用にかかわる国籍条項撤廃についての検討作業を急ぎ、定住外国人の人権擁護のための積極的施策推進に努める」と約束されました。 この課題は、相当以前から幾人もの議員が繰り返し質問されてきたことであります。私たち日本国籍を持つ人たちと同じように、日本で生まれ日本語しか話せない、あるいは帰化をと思いつつも実現しない人たちにとって、 また、奈良県を愛し生活を営もうとしている方々に、特定の職種のみと門戸を閉ざさず、大きな包容力を示されることが大切なのではないでしょうか。 既に国籍条項を撤廃しているほかの県の前例もあります。私たちの住む奈良県に存在した古代大和政権は、朝鮮半島や中国大陸、そして南方諸島からの来訪者の活躍によって大きく発展したと理解しております。 新しい世紀、二十一世紀に新しいエネルギーを注入することが県政の意識改革につながり、まさに世界に光る奈良県、グローバリゼーションの中の奈良県として大きな立場を築けることになるのではないでしょうか。 国籍条項の撤廃を推進されると信じておりますが、知事のお考えをお尋ねいたします。

 以上、会派との公約の一部と、それに関する質問でありました。


 続いて、選挙広報において知事が公約されましたことについてお伺いいたします。

 いろいろとお約束されておられるのですが、その中で理解できます部分はさておき、「県政の主要施策」の見出し部分でありますが、「歴史 ・ 文化 ・ 自然などの魅力」と「基盤整備で増す本県の底力」に、 県民の皆様からご提示いただく「創意と夢」を積極的に活かして、「社会 ・ 家庭に温かさと潤い」が感じられる、「明日の奈良県」を造ることが、「世界に光る奈良県」を実現する道と確信しております」と記載されております。 一期目の「遊」についても、正確な理解をいたしますのが難しい奥深い理念であります。今回の「世界に光る奈良県」とは何なのでしょうか、柿本県政の目指す方向をお示しいただきたいと存じます。 そして、平城遷都一三〇〇年記念事業の理念の中で、「世界に光る奈良県」はどのように生かされているのでしょうか、あわせてお伺いいたします。


 次に、盛んに言われています地方分権化時代についてお尋ねいたします。

 さきの県議会におきまして、分権化議案は提出され、議決されました。分権化は、市町村にとって事務処理の負担ばかり増えて大変だということになっていないでしょうか。 そして、市町村の業務を円滑に行うため組織されている団体について、その運営について自主財源を調達し運用を図るようにとの方向性が示されており、特に、社会福祉協議会の運営は財政的にも危機的な状況にあります。 地域に対する市町村社会福祉協議会の役割に何を期待し、どのような支援を考えておられるのか、お伺いいたします。

 さて、自治省は、市町村の合併を推進しております。奈良県として、先ごろ自治体合併について実態調査や問題点の整理をされました。 県内での市町村の合併が話題として取り上げられつつありますが、県境の変更を伴う市町村の合併についてどのようにお考えでしょうか。総務部長の答弁を求めます。

 地方分権化の合併課題のほか、もう一つの問題点は自主財源の確保ですが、既に、自主課税を行うと、日本の二大都市である東京都と大阪府が外形標準課税を議決いたしました。 経済基盤のあるところでの外形標準課税は大きな税収源となりますが、我が奈良県はそうもまいりません。神奈川県の税源移譲のシミュレーション報告書による地方消費税、三重県の産業廃棄物埋立税など、 地方における新しい税制を他の都府県は考えておられますが、奈良県としてはいかがでしょうか、知事のお考えをお聞かせください。


 さて、今年度行われる国勢調査についてお尋ねいたします。

 本年は大規模国勢調査の年にあたります。今回の国勢調査の中で、過去の調査の際に県民から寄せられた苦情について、現時点でどのような対策を用意して県民への説明を行う予定でしょうか、お伺いいたします。

 また、国勢調査は、特定の人を除き、国内に居住するすべての外国人も対象とされていますが、調査表配布の過程でオーバーステイの外国人と出くわした場合、 臨時の国家公務員としての業務を委嘱されている調査員は、刑事訴訟法に基づいて、その事実を法務当局に告発する義務を負うのでしょうか。 調査員がそうした治安対策要因としての活動をしないための人権研修は予定されていますでしょうか、お伺いいたします。

 念のためお伺いいたしますが、国勢調査の集計をする中で、個人情報のデータは、他の行政機関や企業に漏えいしたり転用されることはないと思いますが、いかがでしょうか。


 以上、個人的な見解を含め、県民が安心して暮らせる県政を築くための幾つかの質問であります。知事並びに関係各位のご答弁をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。



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