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会議録




平成13年9月 第259回 定例奈良県議会 会議録



〜質問全文〜



質問の要旨

  • 市町村合併について
  • 国際観光都市としての安全対策について
  • 雇用対策について
  • 情報化社会におけるデジタルディバイドについて
  • 平城遷都1300年記念事業について
  • バリアフリーについて
  • 男女共同参画社会の構築について
  • 水道事業について
  • 畜産試験場跡地利用について
  • 奈良県中央卸売市場について
  • 宇陀郡内の道路、河川整備について
  • 学校再編について
  • 環境問題について (要望)



 議長のお許しを得まして、民主党・市民連合の会派を代表し、質問をさせていただきます。

 まず、市町村の合併について、知事にお伺いいたします。

 二十一世紀に入り、新しい世紀は、私たちの自治体にどれだけの主体性を持った活動ができるのか、言いかえれば、地域住民の声がどれだけ反映されるのか、 楽しみだと思える世紀とせねばなりません。しかしながら、今行政の大きな流れとして感じ取れることは、国の委託業務であったもののうち国へ引き揚げるもの、 行政の中で福祉部門のように市町村に渡してしまうものと、二極化が進んでいるように思えるのですが、いかがでしょうか。予算配分においても、 県行政は国と市町村の中間管理職なのですが、その多くが実質的に市町村の国への直接陳情に左右されているように思えるのですが、いかがでしょうか。

 国の考えは、地方自治の二層構造である市町村と都道府県の二層を解きほぐし、住民と最先端でつながっている市町村に行政の主役を演じられるように、 その主役はみずからシナリオを書き、みずから演出して、主役を演じられる、そのような市町村をつくることを目指しているように見えます。 奈良市が中核市に進まれた姿は、この先、市町村合併を進めた後の自治体の姿とも思えます。幾つかの合併都市は、奈良市のように市の意思で多くの事柄を みずから決めていけるようになることでしょう。ただ、合併について一般市民の方々の中に、住民の声が反映される制度になっていると信じているように思えるので、 私は、この機会にその誤解を明確にしておかなければならないとの立場で発言させていただきます。

 今回の合併手続きの中で市民が直接参加できるのは、積極的に合併を進めたいとの意思表示の署名による合併協議会設置の住民発議制度によるものであります。 また、その合併協議会設置の要求が対象自治体の議会において否決された場合、再度請求ができる住民投票制度の導入について国会で審議が進められていると 聞いているところであります。合併について協議する合併協議会は、合併の是非も含めて協議する場でありますが、一たん合併協議会が発足し、 合併の関係市町村の議会と理事者がその気になってしまえば、合併は可能であります。しかし、合併は住民のために行うものであり、 地域住民の意思が反映されたものでなければなりません。それが今日の合併と考えます。だからこそ、地域住民の直接的な賛否の意思表示の機会を設けるべきだと思います。 奈良県内でかつて、町村合併に関してかなり紛糾した地域がありました。そのときの紛糾理由は、地域住民の意思を無視したことにあります。 過去の経験を生かし、今回の合併促進においては、法制度上必要なくとも、地域住民の意思反映の機会をぜひつくられるよう望むところであります。

 そして、私たちが真剣に議論をせねばならない事柄の一つに、合併によって住民サービスがよくなるかとの視点についてであります。 市町村合併によって自治体の首長の人数や議会議員の人数を減らすことができるというところまでは盛んに論じられるのですが、合併後の新体制での自治体職員の人余り現象、 特に技術職における職員の配置に問題が出てくるのではないかとの心配や、住民のいろんな相談事は、現在、役場まで行けば直接担当者と相談できるが、 合併後はそうはいかなくなってしまう等、住民サービスに関することが一般住民のところまで理解されていないのではないかと危惧されます。 公務員が余ればリストラすればよいという乱暴な意見もありますが、公務員はその地位が守られております。新制度の中でどのような方策が講じられるのか、気がかりなところであります。 そして、国には六百六十六兆円という大きな財政赤字があります。この赤字の中で市町村や都道府県に、国は今までどおりや今以上に財政の支出をするわけにはいきません。 各自治体としてみずからの財源を持つ、財政収入に力を注ぐことが求められる時代が近々来ると思われます。そして、市町村の合併が一段落したころに、 次の合併である都道府県の合併のことが取り上げられることでしょう。数年後、そして十年後の奈良県において奈良県庁の仕事がどのようになってゆくのでしょうか。 今はまだ市町村合併が話題となりかけたときであり、市町村合併が成り立つかどうかわからないにもかかわらず、心配の先走りかもしれません。 しかし、あえて話題として提起させていただきました。

 さて、知事にお尋ねいたします。市町村合併ですが、奈良県として取り組みかけたところであり、地域と懇談を進めておられると思います。 各地域の合併の取り組み状況についてお聞かせください。


 次に、まだ半月ほどしか経過しない9月11日、あのアメリカにおけるテロは、日本じゅうの人たちをテレビにくぎづけにしました。あの日まで夢にも思えない出来事であり、 テレビで何度も繰り返される民間飛行機でのビルへの突入は、全世界の人々を驚かせ、恐怖におののかせ、犯人たちへの怒りを募らせる出来事でありました。 犯人たちと何ら関係のない七千人に近い市民が犠牲となられたことに、心から哀悼の意を表します。

 二十世紀は戦争の時代であったと言われます。それだけに、これからの二十一世紀は新しい発展の時代であると夢を見、希望を抱いている人たちが多くおられます。 これからの時代の最先端を生きるということは、人、物、情報のグローバル化時代を生きることであり、国境を意識することなく、垣根を隔てない、 自由に行動のできる世界を創造することであります。そのような社会をつくることが人類の発展につながるものだと信じておりました。 その人たちにとって、今回の事件はまさに冷水を浴びせるものでありました。移動交流のシンボルであるジェット機によって、経済活動のシンボルである世界貿易センターを破壊することは、 少なくとも世界の一般市民にとって恐怖を与えられるのみであって、共感を得るものではありません。それゆえにテロ集団に対する憤りによる対決は、 犯罪行為としての認識による捜査、新しい戦争との認識に基づく武力行使、それに伴う各国政府の協力等がそれぞれの立場で正当化され、行動を起こしています。 その上、テロリストたちはアメリカ政府の力の象徴である国防総省にも突入し、アメリカ政府の対抗心に正当性を与えました。 世界中がアメリカ政府の主張に同調することになったのも当然であります。

 そして、日本政府は、アメリカ追随の立場から、テロ根絶の立場から後方支援を既に行っていますが、この対テロ作戦が数年間かかり、費用がかさみ、 今は憲法の枠内と言っていますが、抜き差しならない状況に立ち至ったときには、アメリカの期待にこたえ続けられると自信を持っておられるのでしょうか。 そして、日本が類似のテロに見舞われたときには、今のアメリカ同様、新しい戦争だとして交戦の準備を進めることになるのでしょうか。一瞬にして交戦国となり、 日本は戦争状態になってしまうのではないでしょうか。事件直後の一時の感情から、外交や武力行使に加担する重大な方針を政府が早々と決定するのは、 日本の国を危うくする可能性を秘めているように思えてなりません。そのような今だからこそ、政府や国会に対し慎重に事を運ぶよう祈らずにはおられません。

 幸いなことに、日本では行われていないことでありますが、私は普段の生活の中で、世界のどの国であろうと、テロを恐れるあまり、 警備当局が過剰に個人のプライバシーを侵害することを許してはならないと訴えたいのであります。電話の盗聴が当然のごとく常時行われたり、検問が日常茶飯事に行われることは、 世界の発展に全く寄与しないことであります。文化の違いや宗教の違い、そして社会体制の違い等を理解し、違いを認め合ってこそ世界の平和と発展が生まれるものだと信じております。 日本の平和や世界の平和については、国家の政治の中心人物に任せ切るのではなく、私たち一人ひとりの問題として、身近な安全対策として考えなければなりません。 この平和維持やテロについての課題は、アメリカ対中東の問題としてのみならず、アジアの、それも極東の問題として考えてゆかねばならないのではないでしょうか。 今回のようなテロ事件が私たちの日本で行われたらどうするか、今回の理論と同様に軍事を選ぶのか。戦争を放棄しているわが国の基本的立場による、アメリカ同様の行動をしない、 問題の解決の選択方法はほかにあるように思えてなりません。そして、私たち議会人は、奈良県を中心として身近な対策を講じてゆかなければならないところであります。 私は、答弁者側に担当者のいない軍事について質問を行うつもりはありません。気持ちを切りかえて、もっと身近な平和な日常生活の中での事柄について、警察本部長にお尋ねいたします。

 米国同時多発テロに関し、国際都市の奈良県としての安全対策について、一つは、外国人によるテロのみならず、外国人による組織犯罪対策についてどのように対応しているのか。

 また、いま一つは、国際観光都市として外国人来訪者も多く、遷都一三〇〇年事業には多くの要人が来訪するものと思われます。要人警護についてどのように考えておられるのか。 二つの点についてお答えください。


 次は、今回のテロは、揺れ動く国際経済の歯車を悲観的な方向に向けさせました。日本経済はアメリカに頼るところが多いが、残念ながら日本経済は不況の真っただ中に入ってしまいました。 アメリカの株式取引価格は下がり、世界経済に大きく影響を与えています。日本においては、各企業のリストラにとどまらず、マイカル等、倒産による失業者はこれからもふえそうであります。 求職しようとする方々にとって、いまほど困難な時期はありません。国や奈良県において救済策としての失業手当、再雇用への研修や訓練が行われていますが、 その救済策の網にも対象とならず、収入のない、年金にも該当しない核家族があることによって、新しい社会不安を生じさせているように見受けられます。 その人たちに対応するためには、かつての失対事業ではなく、視点を変えての失対事業の取り組みが必要となることでしょう。

 そこで、労働問題の第一点目として知事にお伺いいたしますが、このような時代であることの実態を正しく把握するために、今日、6.3%と言われる完全失業率の数値だけに頼るのではなく、 潜在的な失業者も含めた失業率の数値を把握することが必要と考えます。そして、公式の統計による近畿圏の失業率が6.3%に達している現状に基づき、 雇用促進を図るためにどのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。

 そして、次の二つの点については商工労働部長にお伺いいたします。

 再就労に関し、先ほど既に先輩議員も触れられましたように、国の雇用能力開発機構の奈良職業能力開発促進センター、奈良県の高等技術専門学校等による研修や訓練が行われています。 長年積み上げられた実績もあると思いますが、これだけ失業者がふえ続けている現状をかんがみ、コースの設定の見直しや、 受講者の定数増員を至急に行う必要があると思うが、いかがでしょうか。特に介護保険に関する講座には多くの希望者がいるようですが、 先日九月十七日にお決めいただいた緊急目標を達成するためには、IT講座の増員のみならず、他の分野についても詳細な分析と対処をされるべきと思いますが、 いかがでしょうか。失業に伴う職業訓練、研修を受けようとしている人たちは、待ったなしのせっぱ詰まった状況にあり、一日でも早く、一刻でも早く研修や訓練を受けたいと、 はやる気持ちを持っている人たちであります。どうか、来年の予算で考えるなどとお思いにならないでいただきたい。奈良県としてのお考えをお伺いいたします。


 次に、奈良県勤労者生活支援資金融資について伺います。最近、融資限度額が五十万円から百万円まで引き上げられました。このことは、労働関係機関の人たちも評価しています。 しかし、いま少し条件の緩和を望まれています。問題点は、使用用途を住宅資金の返済等にも充当できるようにされたい点であります。 改めて理由を申し上げる必要はないと思います。お考えを伺います。


 さて、先日「電子奈良県庁」の冊子が届けられました。既に過去の本会議において電子県庁の必要性についての質問がなされ、 電子県庁の必要性をご認識いただいた結果として本冊子ができ上がったものと理解しております。そして、電子県庁の構築に向けて積極的な取り組みをされますよう強く求めるところであります。

 さて、その冊子に記載されている情報格差の是正、地域情報基盤の形成の項目ですが、目的として、誰もが豊富な知識や情報を活用し、高度情報通信技術の恩恵を最大限に享受できるよう、 県民の情報活用能力の向上とともに、全県域にわたり将来のネットワーク社会に対応可能な機能を有する高度情報通信ネットワークの形成を目指す、また、 県民一人ひとりが正しい情報モラルのもとで高度情報通信ネットワークを活用する意識の定着を目指すと記されているのです。そこで、特に県内でのインターネットサービスについて、 地域間での利用料金の格差が生じております。この格差是正に向けてどのように対応しようとしているのか。また、県民に対するIT講習会の成果はどのようであったのでしょうか。 そして、今後も県民へのコンピューター教育を充実すべきであると考えますが、いかがでしょうか。関副知事にお尋ねいたします。


 次に、奈良県の一三〇〇年記念事業について、企画部長にお尋ねいたします。

 先日、「平城遷都一三〇〇年に向けて」というパンフレットをいただき、拝見しました。誠にすばらしいパンフレットを作成され、計画の雄大さ、重厚感あふれる歴史への思い、 新しい時代への期待などを示す言葉がちりばめられており、なるほどと感心したところであります。そして、素朴に感じたことを申し上げますと、この一三〇〇年記念事業で何をされるのだろうか。 お書きいただいております内容は、どれをとっても目を見開くものばかりであり、一つ一つが壮大な構想であると同時に、事業展開例や、その中に示されております二〇一〇年目標、 長期展望など、どれも外すことのできないものばかりであります。このパンフレットには、私たち奈良県民の希望の星がちりばめられているのであります。 どうか、奈良県に夢と希望を与えるこのプランをぜひ実現していただきますようにお願い申し上げます。

 ところで、この平城遷都一三〇〇年記念の諸事業を遂行するために、大まかで結構ですが、どれほどの予算を組まれる予定でしょうか。もちろん国にお願いする部分もあることですし、 十年先を見通してのことでありますから、正確な数値を期待するものではありませんが、平城宮跡地区、平城京地区、全県エリア等の地域を分け、その中での第一次大極殿院の復元、 近鉄線地下化及び周辺市街地の整備、第三次明日香村整備計画の推進等、具体的なプランをお示しいただいているので、ぜひ全体像としての予算をお示しいただきたい。 予算の記されていない計画はなかなかわかりづらいので、ぜひともお示しいただきますようお願い申し上げます。 また、計画を実行する上で大まかな予算の財源対策はどのようになされるおつもりなのかについて、あわせてお伺いいたします。


 次に、バリアフリーについてであります。

 まず第一点目は、鉄道駅にエレベーター設置を働きかけるべきだと思いますが、福祉部長にご所見を伺います。

 以前から厚生委員会において、事業主が民間企業であるが、駅にエレベーターをつけていただくように奈良県として努力願いたい旨の発言を続けてまいりました。 この件につきましては、先日の新聞に、近鉄として積極的に取り組み、バリアフリー化を推進する旨の記事が掲載されていました。 新聞によりますと、二〇一〇年を目途とし、年次計画に基づき設置するとのことでありました。発表されたことは誠に結構なことでございます。 そこで、二〇一〇年目途を着実に実行され、エレベーターを設置されますよう奈良県から積極的に働きかけていただきたいと考えます。

 第二点目は、県庁内におけるバリアフリーについてであります。先日、県庁内で車いすに乗っている方にお尋ねいたしました。 外部から県庁内に入り、廊下を行き来するには問題点がないとのことであり、ずいぶん高い評価をされていました。しかし、各課に入り、課内での移動となると、なかなか難しそうでありました。 限られたスペースの中で業務をするわけですから、各課に車いすを通すだけの余裕をつくるのは大変なのかもしれません。しかし、電子県庁を進めつつある時代でございます。 せめて出入口、開口部は見通しがきくように、車いすが入りやすいスペースの確保をお願いしたいところであります。関副知事のご所見をお伺いいたします。

 車いすによる移動については、一般の道路を走行されているのを時々見かけます。県道だけでなく、あちこちに問題点がありますから、特にどこだとの場所を申し上げませんが、 傍らで見ていますと、はらはらするときがあります。歩道がありながら狭かったり、左右の傾斜がきつかったり、歩道と車道との境の段差が大きかったりしています。 時には車道を通らざるを得ない障害物があったりしています。せめて、家並みのある、町並みの道路については、車いすで通れる道路として整備の促進をお願いしたいところであります。 答弁は求めませんが、バリアの解消に努力を傾けていただきたい旨申し上げます。


 次に、男女共同参画社会を築くことの大切さを訴える意味で質問をさせていただきます。

 今回は、第一点目として、「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」、この長い名称の法律は通称ドメスティック・バイオレンス法、略してDV法と言われています。 そして、この新しい法律が十月より施行されることとなりました。私たちの仲間がこの制定に努力をされ、今日に至っているので、喜ばしいことなのですが、 この法律の内容及び奈良県としてどのように対応しようとしておられるのか、福祉部長にお伺いいたします。民間のボランティア団体の中に既に取り組んでいる方々もあり、 県としての取り組みに注目しているところです。

 第二点目は、県職員に対し男女共同参画社会構築に向けてどのような行動や実践をするよう働きかけているかをお尋ねいたします。

 その都度申し上げますように、県庁という職場は、奈良県民の職場の象徴的な部分のあるところです。皆様の仕事ぶりについて、勤勉に働いているか、公務員としての立場を守っているか、 仕事分野を理解し、積極的に取り組んでいるかなどを絶えず県民の方々が見ています。企業職場の中で男女共同参画社会を築くために先導の立場を担っていただくことも大切なことであります。 その意味を込め、職員一人ひとりがどのように行動、実践しているかが大切であります。生活環境部長にお伺いいたします。


 次に、命に結びつく水道についてであります。この点も毎回質問させていただいております。

 毎年1%ずつほど奈良県の水道の普及率が上がってきております。これは県庁や各市町村の担当者の努力によるものだと感謝しているところであります。 今まで水道のなかった地域に勢いよく流れ出る水道が導入された喜びは、ひとしおのものがあります。そして、奈良県全体の数値では、 あと2%弱ほど達成すれば100%達成になるのですが、残されたそのあとわずかの地域が実は問題なのであります。対象地は、ご理解いただけると思いますが、宇陀郡や吉野郡内であります。 宇陀・吉野両郡の中で平成十一年度の普及率を見ますと、最低で15.7%、次が33.6%の普及となっています。もちろん両郡内において100%達成の町はあるのですが、 普及率が75%に達していない町村は八ヶ町村になります。どうか、県が水道の普及に一層の努力をされることをお願いいたします。県のご所見を健康局長にお伺いいたします。

 また、県は、用水供給事業として県下二十七市町村に水道を供給しております。奈良県の用水供給事業の料金は、近畿の他府県の用水供給事業と比較してどのような水準にあるのでしょうか。 この質問をいたします背景には、以前から、大阪と比較して奈良の水は高い、どうしてなのかとの問いかけがあります。県営水道として安定供給の確保に努力している状況は理解していますが、 兼営水道料金の状況についてお答えください。また、差が生じているとすれば、その差の要因についてどのようにお考えなのか、本県として料金抑制のためにどのように対応しているのか、 水道局長にお伺いいたします。


 次に、畜産試験場跡地利用についてお尋ねいたします。

 畜産試験場については、今年、御杖村に奈良県の畜産基地として、牧草地を含む広大な酪農の拠点ができ上がり、酪農の振興に寄与するものができ上がったと喜んでおります。 その畜産基地において畜産試験場の機能もあわせ持つことになり、そこで、大宇陀町にあった既存の施設の跡利用をアニマルパーク及び動物愛護センターとして計画されました。 それを知った地元地域の中には、動物愛護センターの設置について反対の意思表示をしている方がおられます。 そこで第一点として、地元の理解を得られるように努力をすべきと考えますが、いかがでしょうか。農林部長にお尋ねいたします。

 次の二点については、健康局長に伺います。

 第二点目は、動物愛護センターという名称の施設についていろいろ議論があるのですが、そもそもペット動物や家畜の飼育について、奈良県の条例があるとは聞きません。 先日まで動物愛護週間であったこの機会に、私たちが自分の家族と同様に愛育している動物に対して、みずからがどのようにかかわっているのか、 動物たちの生活にどれだけ責任感を感じているのかをお考えいただきたい。単に動物を飼育することができなかったから捨てる、放し飼いにして動物の勝手気ままにする、 これでは周りの方にとって迷惑千万と申さざるを得ません。そして、全国的な名称なのかもしれませんが、不要な動物を安楽死させる場所が動物愛護センターというのも、 なかなか理解しにくいことであります。私はこの機会に、他府県においても制定されつつある動物愛護条例やペット条例を、奈良県において制定すべきであると思います。 動物が飼い主に大事にされ、飼い主も動物によっていやされる良好な相互関係が保たれるように、そして周りの方々に迷惑をかけないようにするための条例制定を望むところであります。 野良猫や野良犬がかわいそうだ、動物を償却する施設はごめんだ、私もその気持ちはよくわかるのです。 だからこそ、奈良県において野良猫や野良犬をつくり出さない方法としてのシステムを築いていくべきだと思います。動物を飼うことについての飼い主によるいろんな主張があるかもしれませんが、 動物と人間が共存するために、動物と飼い主に一定の役割と責任を持つことが大切だと信じております。そこで、動物愛護の基本的な考え方について所見をお伺いいたします。

 そして、他府県のペット条例制定を参考にしながら、本県の条例制定をするべきだと考えますが、いかがでしょうか、県のお考えをお聞かせください。

 第三点目に、動物には、人間とふれあうことで人間の心を和ませたり、緊張した心を開かせたりする力を持っているといわれています。 今計画されている主たる施設のアニマルパークは、その点を含めての動物を学習する場として運営されると伺っています。動物たちとふれあうことの少ない子どもたちにとって、 都市生活者家族にとって楽しい施設ができるとの期待を抱いているところであります。そして、動物の持つ能力、特に犬の持つ能力はすばらしいものがあります。 今盛んに注目されている盲導犬や介助犬は、人間社会に貢献する動物です。そして、障害者に対しバリアフリーの社会をつくりつつある今日、県が動物を学習する場をつくるこの機会に、 動物が人間社会に貢献している実際の姿も一般の人たちに学んでいただき、その上、盲導犬や介助犬を必要としている方々の役にも立つ施設として運営していただけたらよいのだがとの希望を私は抱いています。 今年度の当初予算においては調査費の段階でありますので、ご配慮をいただきたいと思います。盲導犬や介助犬の施設併設についてのお考えをお聞かせください。


 次に、大和郡山市にある奈良県中央卸売市場に関してであります。農林部長にお尋ねいたします。

 県民の期待を担って、あの中央市場ができました。その役割は今もなおますます重く、期待にこたえなければならない重要なものであります。 ところが、大型スーパーの直販システム等による流通の変化は、県内食料販売店へ強い影響を与え、個人販売店の営業成績は青息吐息の状態だと申しても過言ではないと思います。 中央卸売市場で仕入れる小売業者は毎日、市場を取り巻く道路を利用していますが、市場開設以来随分年が経過しているにもかかわらず、周辺道路があまりよくなっていません。 仕入れが終わってそれぞれの帰路につくとき、周辺道路が渋滞し、困っているのが現実であります。県では、市場の活性化のために、 市場より昭和工業団地を結ぶふるさと農道の建設に平成九年から取り組まれておられると聞いております。この道路が完成すれば、西へのアクセスは少しよくなるのでしょう。 しかし、東に向かう道路は、有料道路を除くと24号線以外に何があるでしょうか。早期の改善に期待するところであります。

 また、場内については、関連業種棟では、閉鎖したテナントの跡が新規開店に至らず、閉鎖されたままになっていますが、どのように対応されるのでしょうか。 私は、県内食料品業界を発展させたいと願っております。また、卸売市場も大いに発展せねばなりません。市場の発展は、場内関係業者の発展と県内食料品小売業者の発展があってこそ達成されると思いますので、 あえて指摘させていただきました。関係者の意見を十分に聞いていただき、管理運営に努めていただきますよう強く要望いたします。


 さて、代表質問でありますから、選挙区地域の問題については少しだけ触れさせていただきます。今回は特に主だった部分にだけ触れさせていただきます。

 宇陀郡内の道路について、女寄峠トンネル、栂坂トンネル、榛原バイパス、土屋原バイパス、曽爾バイパスの進捗状況及び供用開始時期を含めた今後の整備見通しはいかがですが。

 また、宇陀川の河川改修事業、芳野川の維持修繕事業の現状と今後の整備見通しはいかがでしょうか。土木部長にお尋ねいたします。


 次に、教育についてお尋ねいたします。切実なる課題である県立高校の将来構想についてであります。

 昨年七月に発足した県立高校将来構想審議会は、今年三月末中間答申を出し、九月十七日に答申を出されました。奈良県の高等学校教育の抱える問題や現状認識、 将来に対する基本的な視点、目指すべき方向等、そして、県立高校の再編についてなどが盛り込まれています。審議をいただいた委員各位の教育に対する情熱や造詣の深さ、 積極的に取り組まれている様子が手にとるように読み取ることができ、答申に至るご審議に敬意を表するところであります。そして、私たちの社会の発展は、 教育に情熱を傾けてきた教育関係者によって支えられてきたと言っても過言ではありません。改めて教育関係者に敬意を表するものであります。

 山間部に住む私たちの地域は、高等学校という建物、教育のシンボルを持ち得たので、今日まで発展してこれました。そして、その高等学校から多くの先輩を輩出してきました。 もともと高原にあるので、当初から大規模校ではありませんが、それでも、有名無名にかかわらず、社会に貢献してきた先輩の方々が多いと自負いたしております。 まさに闇夜を照らす教育の灯台でありました。また、答申の中に、小規模校だから教育ができなかったとの報告はございません。

 教育長にお伺いいたします。どうか、再編に向けての取り組みの中で、地域のもつ特性や地域に根ざした状況を十分に考慮されるよう望むところであります。 答申を受けられて、今後の取り組みについての方針やご意見をお尋ねいたします。


 次に、奈良県の直接的な行政責任とは関係がないのですが、国の大学に対する考え方が大きく変化し、大学の法人化が目前に迫ってきています。 県内では二つの国立大学があります。特に奈良教育大学については、長らく奈良県で活躍する教員を多数養成し、本県の教育の発展に大きく貢献してきた経過があります。 現在、奈良県の採用する教員の人数が少なく、昨年の卒業生のうち奈良県で教員になる率が9%、わずか十五名程度にしかならない状況に至っているわけです。 全国的な問題だと思いますが、教育大学の将来について、関係者が真剣な論議を重ねておられるようです。私たちは、奈良教育大学が国の教育機関であり施設であるからということで、 このまま傍観者を決め込んでおればいいのでしょうか。私は奈良県として一定の考えや対策を持つべきであると思いますので、どうか関心を深めていただくようお願いいたします。


 さて、環境問題について次のような物の見方、考え方があるのだという観点から指摘をさせていただきます。

 先般、オランダの風力発電について学ぶ機会を得ました。火力発電による化石燃料の消費や大気汚染の問題として捕らえるだけでなく、 クリーンなエネルギーを使うこと自体が一つの目標であるとして、国全体が取り組んでいる意思が明確でありました。そして、電力消費について、 消費者みずからが何で生産した電力を使うかを選択できるようになっていることでありました。もちろん電力会社にお任せでもよいのですが、 例えば水力発電で生産した電気を使いたいとか、私は風力発電の電気を使うとかを指定することができるわけです。電力会社は、指定された発電源による電気を生産するか調達をして、 消費者の希望にこたえなければならない制度になっていることです。すなわち、消費者が電力会社の生産方式の決定に大きくかかわることとなり、 国全体のエネルギー政策を国民が選択し、決定することになります。極めて明快な民主主義の実践であると感じられました。 日本ではまだ、みずからの使う電力をみずから生産しない限り、指定することができません。環境問題に限らず、新しい方式を社会の中で取り入れるときには、 このようなやり方を採用すると、住民の関心が高まる、よい方法なのではないかと思いました。日本にない社会参加システムはほかにも数多くあることと思います。 大いに吸収し、社会開発を試みる必要があることを申し上げて、私の壇上からの質問を終わります。

 ご静聴ありがとうございました。



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