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会議録




平成14年2月 第260回 定例奈良県議会 会議録



〜質問全文〜



質問の要旨

  • グローバル社会に向けての奈良県の取り組みについて
  • 市町村合併に関する取り組みについて
  • 過疎ニューライフ推進事業について
  • 奈良県の農業振興策について
  • 山間事業者への支援策について
  • 畜産試験場跡地利用について
  • 警察行政における男女共同参画の現状について
  • 山間部における犯罪の現状と対策について
  • 宇陀郡内の基盤整備(要望)



 議長のお許しをいただき、一般質問をさせていただきます。

 昨年九月議会において代表質問をさせていただきました。そのとき、国際化時代、グローバル時代について大きな期待と希望を抱いて意見表明をしたところであります。 しかし、今日の国際化の流れを考えますと、本当にこれでよかったのかとの疑問が生まれてきて仕方がありません。

 ウルグアイ・ラウンド貿易交渉で決定された結果として、中山間農地に対し、同じ傾斜地の農地、同じ宇陀郡内でありながら直接払いのある地域とない地域の不平等感であるとか、 自由化に伴いこれからますます低下するであろう米価、テレビでいやというほど聞かされる狂牛病問題における肉骨粉の安全管理体制、 肉価格の低下による生産者保護を目的とした保証金の支払い基準のでたらめさ、農産品の輸入による国内産地としての生産力低下、輸入商品による国内の花市場の競争力低下など、 生産者を取り巻く環境は、新しい世紀をバラ色に輝かせるものではありません。そして、消費者側から見て、乳製品における雪印牛乳の食中毒から始まった牛乳賞味期限のうそや再利用、 そして食肉の流通段階における産地ごまかし、狂牛病全頭検査前の牛肉の政府買い上げの手続きと、その目的に沿っているかどうかの判定のずさんさなど、 今の食肉供給政策のずさんさに当惑するばかりであります。そのずさんさが明らかになるにつれ、国内農畜産生産者の不安感は増幅し続けるばかりであります。 このような事態に翻弄されるグローバル化、国際化は、奈良県人としてこの地に生き、ここでしか生産する手段を持たない人たちにとって、構造改革や技術革新、 意識改革などを求められても、方策を講ずることは難しいのではないでしょうか。今申し上げた食料政策や、そこから発生した出来事は、国政から生じたものであります。 だから、地方自治体として何も考える必要はないということでもありません。奈良県知事として、グローバル社会における国際社会とのかかわりに関して、 奈良県のかじ取りや行政責任についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたい。

 そして、農産品のみならず、一度使ったら壊れてしまうような粗悪な外国製プラスチック製品が流通したり、2、3回洗濯しただけで縮んでしまい、 へその見えるアジア産地日本企業製品肌着がスーパーの店頭に並び、他方、少数の外国産有名ブランドの高級商品は専門店で販売されています。 国際化、グローバル化によって、今まで考えられなかった高品質商品と粗悪商品とが混在する時代となっています。 このことは、今競争が価格競争を中心として考えられ過ぎ、品質のことがおろそかになっているのではないかと私は思います。 言い換えれば、消費者の目から見ると、商品の供給側の信頼性を問われている事柄が今多発しているように思えてなりません。 日本で生産していたものを海外で生産し、外国の安い労働力を使い、安価な商品を日本に輸入する、海外での生産物が増加するので、日本の生産労働力が不要になる、 そこで失業者がふえる、失業者となることで消費は抑制される、企業は、抑制された消費に対し、低価格商品を販売することで消費を喚起しようとする、 この循環により、ますます海外商品への依存度を高めることとなる。この循環の過程で、本来国内生産物であれば確保できるであろう商品の品質を低下させることになっているように思えてなりません。

 そもそもグローバル化への道を歩む大きな意味は、国民生活を圧迫させるためのものではなく、世界に向かって羽ばたけるものとの期待であったはずです。 期待と現実社会とのギャップの大きさを感じると同時に、私たち市民自身がグローバル社会について分析する必要があると思います。 グローバル社会が私たち市民生活の質の低下をもたらすことにするのではなく、グローバル社会であったとしても、日常に県民が使用する商品の品質確保をすることが重要であります。 生活用品の品質確保については、基本的には国の施策と考えられますが、県としても、食品やそれ以外の家庭用品の品質確保について、 県民生活を守るためにどのような取り組みをされているのか、お伺いいたします。


 第二点目に、奈良県内で幾つかの地域で合併に向けての気運が盛り上がりつつあります。宇陀郡においても既に任意の合併協議会が設置されて、 合併に向けての論議を進められています。合併協議会には、各市町村長と各議会の議長が協議を行い、助役会や部長、担当者会がサポートして合併の論議を深められることになるわけであります。 そして、私たちの宇陀郡では、まだ日も浅いので、合併協議会の論議がそれほど進展しているわけではありません。検討が始まってまだ日が浅いとはいえ、 広く県民の方々に合併問題をご理解いただくために、合併協議会がどのようなものなのか、合併協議会の中で何が論議されるのか、議論の対象項目や論議の留意点、 県下各地域において共通する課題で、地域住民として特に注目すべき事柄は何なのかを明らかにする必要があると思います。地域住民の皆さんがわかるように明快にお答えください。

 市町村合併の第二点目は、奈良県のメニューとしての合併補助金、交付金についてであります。他府県も奈良県同様に、合併に向けての取り組みを始めたり、合併をした自治体に対し特別の補助金や交付金を出すことになっています。 平成13年度に決められた制度での比較は、合併協議会が設置された時点での県からの助成メニューを見ると、奈良県より多額の助成金を出しているところは、 神奈川県、香川県、佐賀県、沖縄県など、倍額以上の措置を講じようとしています。合併後や合併決定後の関係町村に対する助成措置を決定されている他府県も多く、 奈良県における支援策が十分でないように思えます。また、上水道や下水道の普及率が大きく異なる地域の合併の場合、生活基盤水準の違いを早急に平均化するための事業の取り組みについては、 総務部だけで合併と取り組むのではなく、全庁挙げて事業の推進に取り組んでいくべきであると考えますが、いかがでしょうか。

 宇陀郡のもう一つの課題について言えば、町立榛原総合病院は、町立でありますが、その恩恵は、宇陀郡内にとどまらず山辺郡や吉野郡の方々にまで利用されてきた実績を持っております。 たまたま合併と時を同じくして改築する時期に至っているこの町立榛原総合病院を、合併メニューで改築するということになりますと、 それだけで大半の経費を投入するということになってしまいかねない。私の個人的な意見を申し上げますならば、奈良県の北部、西部、南部に県立病院、中央である橿原市に医大付属病院があるのだから、 私たちの東部においても県立病院があって当然だとの思いがあります。この町立榛原総合病院の運営については、今も医大付属病院との連携を行っており、 県立病院への移管が一番よい方策と思えます。今回の合併の推進にあたり、町立榛原総合病院の改築については、格段の配慮を求めるところであります。


 次に、宇陀郡にスポットライトを当てる過疎ニューライフ推進事業の問題について、企画部長にお尋ねいたします。

 この事業の大きなイベントである宇陀魅惑体験フェスティバルの開催を決めていただき、御礼申し上げます。宇陀地域はなだらかな山々に囲まれた高原地帯であります。 真夏であっても、大和盆地の暑さも、東の青垣を一越えすることで、さっとさわやかな空気に触れることができます。そうした地形や気候等を生かした農産物や畜産物、 伝統文化に培われた工芸品など、宇陀郡六町村にはそれぞれの地域を生かした特産物があります。また、この地域は、古くから伊勢街道や伊勢本街道などの古道が通じ、 今なお往時のにぎわいをしのばせる数多くの史跡が残っております。伊勢本街道の宿場町である榛原町、役行者によって導かれた弘法大師が築いたとされる室生寺を有する室生村、 国の天然記念物に指定されている屏風岩をはじめとする自然資源の宝庫である曽爾村、万葉集に関する史跡が多く残っている大宇陀町、菟田野町、伝統芸能である伊勢神楽を伝える御杖村、 これらの宇陀郡六町村が、今触れた地域の資源を活用してイベントを連携して実施することは、先ほど質問をいたしました町村合併へのステップとして、それぞれの町村が、 宇陀郡全体の視野に立って自分たちの町村で何ができるのかを考える、特性を生かした役割を果たす大きな意味を持った事業になるのではないかとの期待を抱いております。 この事業は15年度に実施され、14年度はその準備に取りかかるということでありますが、その取り組みについて大まかな方向性をお示しいただきたいと思います。

 また、過疎ニューライフ推進事業は、平成十一年度、十三年度において吉野魅惑フェスティバルとして開催されておりますが、どのような成果を収められたのかを含め、お答えください。


 次に、農業に関してお尋ねいたします。

 私は議員にならせていただいたその年に、農産物の推奨について農林部と相談させていただいたことがありました。 当時、奈良県として農産物の推奨に努力を払っていただいているとのことであり、奈良県独自のラベルをもデザインし、啓発しているとのことでありました。 そのご努力を理解した上でお尋ねするのですが、今農林水産省でエコファーマーの制度ができていると聞き及びます。今日の時代性を考えるとき、 農業におけるエコロジーは大切であり、かつ、消費者に対しても大きくアピールするところであると思います。そこで私は、エコファーマーについて、県でシールを作られることを提言し、 大いに宣伝することが奈良県内の農業振興策につながると考えております。農林部で積極的に取り組まれていると伺っていますが、現状や目指すところをお答えください。

 宇陀郡においては、以前から、宇陀ごぼうであるとか、高原トマト、ホウレンソウ、清水育ちのうまい米、最近取り組みつつあるブルーベリーなどがあります。 しかし、五條・吉野の柿、そして山辺郡、添上郡のお茶、今、中野議員がご紹介になられました国中のイチゴ、宇陀郡を取り囲む両地帯での特産がありながら、 その囲まれている宇陀郡での「これだ」という特産品がありません。大きな消費者マーケットの中で勝ち抜くための特産品をつくり上げる努力をしなければならないと考えています。 個々の農家だけで特定品目の特産化まで育てることは困難であると思います。県や農業団体の大きな支援が必要であると思うのですが、このような希望は無理難題のうちに入るのでしょうか。 農林部長としてのお考えをお聞かせください。


 次に、林務長にお伺いいたします。

 つい先日、私にとって悲しい出来事がありました。それは、宇陀郡内で、ある木材製材業者の社長がみずからの命を絶ってしまわれたことであります。 原因のすべてが今の景気状況にあるとは申しませんが、郡内の木材業界の方々にとって非常に大きなショックな出来事でありました。今、木材業界のみならず、 宇陀郡内で事業を営む方々にとって一番困っていることは、金融機関が融資における担保能力として山林を認めなくなっていることであります。 私たちの宇陀郡で一番動かしがたい確実な資産価値であった山林を否定されたら、私たちの山間へき地はいったいどうすればよいのでしょうか。 この不況下にあって、山村の生きる道を閉ざすような評価を黙って見過ごすわけにはいきません。手持ちの現金で山間部の方がしのぎ抜けるとは到底思えません。 緊急にして大胆な山間事業者の手だてが必要であると、心の底からお願い申し上げたい。この課題を放置することは山間地帯の集落を破壊させていくことにつながるでしょう。 ぜひ何らかの方策を講じられるよう切望いたします。


 次に、畜産試験場跡地利用についてお尋ねいたします。

 来年度予算を拝見しますと、同跡地利用については調査設計費をつけていただいております。私は、家畜動物の公園化を中心として、あわせて動物愛護センターを設置することについて、 基本的に賛成の立場をとっております。しかし、周辺部の地元住民の方々が理解できた、了解したというところまで至っていないとの事実認識を同時に持っています。 さて、先般、既に稼動しております和歌山県野上町にあります和歌山県動物愛護センターを視察してきました。最新設備のセンターは、外部に騒音や煙等の公害をまき散らしている様子もなく、 引き取り手を待っている犬たちの様子も落ち着いており、引き合わせの手続きや引き受ける人たちへの面接も行き届いているように見受けることができました。 少なくとも和歌山県以上の発想を持って跡地利用を進めることができるならば、地元の方々にご迷惑をかけることが少ないのではないかとの思いを深くいたしました。 一番の問題となっている「不要動物を持ってこないで」との意見に対しましては、ご担当の方々が真正面から誠意を持って地元の方々にご説明されるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

 また、このようなことが発生してくる原因は、犬や猫を飼う人たちの無責任から生じることであります。飼い主が愛情を持って飼い、責任を持って飼うことができれば、 野良犬や野良猫はできてきません。アメリカの幾つかの州では、犬の大きさによって犬小屋の大きさを指定された上で買うことが認められている現実も存在しているのです。 私は、私たちが無責任に犬や猫を飼うことを改めることが大切だと、議場の皆様や県民の皆様に訴えたいのであります。無責任に犬や猫のふん尿をたれ流したりすることも、他人にとっては大きな迷惑であります。 飼い主の健康のために犬を連れて散歩されるのも大切でしょう。しかし、ふんを所構わず放置されるのはいかがでしょうか。心をいやすはずの動物を不要だからと殺してしまわずに、 最後までみとっていく、犬や猫と人間の関係を築くために、ペット動物を飼うことを規定する条例を制定すべきであると思います。理事者のみならず議員の諸先輩におかれましても。ぜひ制定へのご尽力をお願い申し上げます。


 次に、私は、男女共同参画社会について、県警本部長にお尋ねいたします。毎回男女共同参画社会関連の質問をさせていただいているのですが、 今回は警察行政にかかわる部分をお尋ねしてまいりたいと思います。

 昔は、「事件のかげに女あり」とかいう時代がありました。しかし、戦後の教育だけではなく、軽四乗用車の普及は女性を社会へ進出させる大きな原動力となり、 それに伴って事故や事件がふえてきたのも事実であります。既に女性が加害者や容疑者となっている事案は数多くあります。また、女性が社会に対して参画していく中で、 セクシュアル・ハラスメントに関する被害も多くなっているし、その上ドメスティック・バイオレンス、通常DVと言われ、主に夫婦間の暴力を指すのですが、 そのドメスティック・バイオレンスに関する事件もふえてきているように思います。そこで、これからの男女共同参画社会を築く上で、 女性にかかわる事件や事故について、県警本部長のご見解を伺います。

 また、警察内部における男女共同参画社会を築く上での一項目として、女性の任用や登用がどのように行われているのか、警察官の中で女性の占める割合がどのようになっているのか、 幹部として登用されている階級はどこまでおられるのか、また、今後の方針についてお伺いいたします。


 次に、昨年、テレビの中で次のような報道がありました。それは、新宿駅東側の百貨店や映画館のある駅前通りで、真夜中の事件が少なくなった、 その理由は、駅前通りをモニターする監視カメラを設置したからであるというものがありました。都心のきずなの少ない地域とよく似た場所は奈良県内でもあるのではないか、 通行者の少ない死角は県内の町場においても少なくないはずであり、そのような場所における防犯はどうなるのだろうかと、それ以来疑問を抱いておりました。 また、最近まで、宇陀郡は事件の少ない地域、安全な地域であると思っておりました。家にかぎをかけておかなくとも大丈夫との思いもありました。 しかし、最近はコンビニ強盗が発生するし、安全に対する意識を変える必要性に迫られています。通行手段の発達した今日、みずからを守るために防犯意識を高めなければなりません。 住民や自治体が防犯活動を進めるためには、警察の協力を得ずしてその成果は望めません。そこで、宇陀郡を中心とした山間における犯罪発生状況と犯罪傾向、現在推進されている主要防犯対策、 及び警察と住民や行政との連携状況、そして、今後予想される犯罪発生傾向に照らして、宇陀郡等の山間部で推進すべき防犯活動について、県警本部長の考えをお聞かせください。


 最後に、宇陀郡内の基盤整備について要望いたします。

 今年度予算は大変な緊縮予算であり、土木関係予算も13.4%の削減に至っていることは困ったことだと申さざるを得ません。その上、道路や河川の維持費については減額をするのが困難であり、 新規事業に対する期待がますます遠くなるのではないかと心配を募らせているところであります。宇陀郡は未整備な部分がまだまだ多く、どんなに財政が苦しくとも公共投資を少なくすることはできない、 山林資源の不況の中で唯一の経済活動になりかけている公共事業のエネルギーを小さくしてはならないとの思いも込め、次の個所についての格段の配慮を要望いたします。

 まず、国道165号線西峠三車線化、登坂車線の確保であります。現地の協力もあり、準備が順調に進んでいるようにも聞き及んでおります。 そして、榛原町萩原地内における歩行者の危険区間について、歩行者の安全確保に一段のご配慮をいただきたい、165号線山辺三地内において、交通事故多発地点があります。 再三にわたる事故のため、車道と歩道を区切るブロックが相当傷んでおります。以前には転落した車両の火災、昨年には沿道の住宅に乗用車の飛び込み事故が発生するなど、 危険個所として問題のある場所であります。土木事務所には改良をお願いいたしておりますので、ぜひとも善処していただきますようお願い申し上げます。

 次に、国道166号線の女寄峠トンネル化について、既に事業化を認め、現在地権者の方々との土地提供についての話し合いを進めていただいているところでありますが、 工事の推進について格段のご配慮を願うところであります。

 また、国道369号線の近鉄線をまたぐ高架橋について、早急に施行されますよう要望いたします。 また、369号線における曽爾村と室生村とを結ぶ栂坂トンネルの中間にある1号橋の早期着工をお願いするところであります。

 栂坂トンネルにつながる曽爾村内の国道狭隘個所及び県道今井バイパスの工事も急ピッチで進めていただいているところですが、 それに続く掛バイパスを含め、早期完成に向けての一層の努力をお願いいたします。

 道路に関し、桜井土木管内になりますが、榛原町笠間から国道166号線に至る、短距離ではありますが、狭隘個所があります。 改良について見通しを立てていただいておられると思いますが、早期に改良していただきますようお願いいたします。

 このほかにも多々あるのですが、これらにつきましては土木事務所にお話申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。 河川及び他の土木部門につきましては、次回の質問の機会に取り上げさせていただきたいと思っております。


 以上、私の壇上からの一般質問を終えさせていただきます。知事はじめご答弁をいただく皆様には、県民にご答弁をいただくのであります。 どうぞ丁寧にわかりやすくご答弁いただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。



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