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会議録




平成14年2月 第260回 定例奈良県議会 会議録



質問に対する答弁 (発言順)



質問内容 答弁者
県民生活とグローバル時代について 知事
市町村合併について 副知事
過疎ニューライフ推進事業について 企画部長
農林業振興について 農林部長
林務長
畜産試験場跡地利用について 健康局長
男女共同参画社会における警察行政について 警察本部長


知事の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私には、県民生活とグローバル時代と称しての二問のご質問、関連したご質問でございます。

 まず農政についてのお尋ねでございます。質問の中で、今日、農業あるいは食料が抱える幾つかの問題点をさまざまな観点からご指摘いただきました。 ご指摘のそれぞれの点は、まさにご指摘のとおりでございますが、大切なことは、何をすべきか、何ができるかということを真剣に考えることではないかと私は考えております。 例えば、安い輸入農産品を求める動きも、同時にご指摘いただきました。安心、安全、新鮮を求めるニーズも、いずれも日本人でございます。 日本人が行っているわけでございまして、その日本人がそれから、あまり地域から離れて暮らせないのも事実でございます。そういうことから言いますと、 与えられた環境や条件の中でどう生きていくかと、こういうことを真剣に考えなければならないのではないかと考えている次第でございます。

 そういう観点から、本県の農業行政は、やはりいろいろな論議を経て策定されました奈良県新総合計画とか、あるいは奈良県新農業農村振興計画、 新NAPを着実に推進することが基本であると考える次第でございまして、農業あるいは食料の問題が今日置かれている状況からいたしますと、 生産者、消費者、あるいは流通関係者が、それぞれ他の関係者、それ以外の方々の持つ心を理解し合う雰囲気を作ることが必要ではないかと痛感している次第でございます。 例えば地産地消、その地域でとれたものを地域で消費しようという地産地消を進める、これも必要な対策でございますが、こういうものでも、考えてみますと、 より安全でおいしい農産品を求める消費者ニーズに対して気持ちのこもったこたえ方をする生産活動が期待される、こういう環境はきわめて合理的な関係だと思うんですが、 さらに一歩進んで、お互いの努力とか期待を理解して、少々の違いなら、同じ地域内で作られたものを購入しようというような、地域に対する愛情とか、あるいは仲間意識、 こういうものを育てるような素地をつくっていくと、こういうことも必要ではないかと思います。それをどういうふうにしてするかということは、 やはりご質問の中でも少し触れられました、経済的な感覚だけでは済まないという問題があるのではなかろうかと思います。

 そういうものをつくるために、そういう雰囲気を育てながら、やはり基本的には、従来から行っておりますすぐれた県産農産品の開発でございますとか、 特産品の認証とか、直売所の設定、あるいはふるさと朝市のようなつながりを求める活動、あるいはIT等を活用した情報発信、県産の食材を生かしたようなおいしいものをつくる運動とか、 中には、ふれあいとして学童農園とか、農地の見学とか、品評会とか、市場情報の提供とか、産地の広報、あるいは季節の産品の広報など、 いろんな形で幅広い局面から取り組みを進めていかなければならない、今後もそういう点で努力をいたしたいと、こう考えている次第でございます。

 なお、ご質問の中でお触れいただきました食肉の表示の偽装とか、意図的な産地の偽りとか、これはとんでもない行動でございまして、信頼や安心というものは、 これは農産物に限らず、我々の社会活動の基盤となっているわけでございます。これに反した行動でございますので、これは行政の立場から言いますと、 行政、法律等に従い、厳しく責任を求めるべきだろうと、こう考えております。そういう観点から、いろいろ詳しくは申し上げませんが、 食品表示110番とか、あるいはこういう安全対策の庁内の連絡会議等を設置して、部局を超えた連携の強化もやっておりますし、そういう信頼というものに反した行動については、 やはりお互いに厳しくその反省を求めていく行動をとらなければならないと、こう考えている次第でございます。


 それに関連して、食品や食品以外の家庭用品の品質、安全性の確保にどういう取り組みをしているかというご質問でございます。

 今も申し上げましたように、安心とか安全の確保は、やはり県民生活の基本をなすということを忘れてはならないと考えております。 そういう観点からいろんな行政に携わってまいりたいと思いますが、取り組みの状況についてご説明いたします。食品の安全性の確保につきましては、日ごろから食品衛生法に基づきまして、 飲食に起因する衛生上の危害発生防止のため、保健所の食品衛生監視員が、そういう食品関係の営業施設に定期的な立入検査等を通じて、 同時に食品表示の適正指導等も含めて監視指導を行っているところでございます。また、グローバル社会ということで、輸入品がたくさん入ってきておりますが、 この安全確保につきましては、やはり第一次的には、いわゆる国の検疫所において各種検査を実施して安全確保を図っておるわけでございますが、地域の県といたしましても、 さらにチェックをかける、こういう観点から、県内に流通する輸入野菜とか、かんきつ類等について、例えば残留農薬等に関する検査を実施しているところでございます。 今後はさらに検査機器の充実整備を図りまして、これらの検査項目の拡大等、体制の充実強化を図ってまいりたいと考えております。

 また、家庭用品の安全性に関する品質保持でございますが、これにつきましては有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律、 こういう法律がございまして、これに基づきまして、国産品や輸入品の別なく定期的に繊維製品や家庭用エアゾール製品等を試買して、試し買いしまして、 県の衛生研究所で検査を実施しておりまして、そういう形で品質確保の監視を図っているところでございます。また、消費者の買物時に不利益をなくすため、 品質の識別が難しい家庭用品につきましては、そうした品質表示のあり方を定めた家庭用品品質表示法というものがありますが、これはできるだけ、 誰にも理解できる、わかりやすい、見やすいということで、そういう表示を求めているわけでございます。県といたしましては、この法律により、 指定された品目について適正な表示がなされているかどうかの調査を業務として行っているところでございます。

 なお、生活科学センターという施設がございますが、ここでは消費者からの商品の品質に関する相談とか苦情に対応しておりまして、同時に、 消費者生活教室等を聞きまして、消費者に対して商品選択に関するいろんな知識とか啓発にも努めているところでございます。 そういうさまざまな取り組みの中で、ご質問のような安心・安全の確保にも努めているところでございます。

 以上でございます。

副知事の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 市町村合併につきまして、三点のお尋ねがございました。

 まず第一点目は、合併協議会に関するお尋ねであります。議員ご質問の合併協議会には、いわゆる任意の協議会と法定協議会の二種類がありますことはご案内のとおりでございます。 このうち、まず任意の協議会でございますが、一般的に、市町村長、市町村議会議長、学識経験者などが参加した協議会でありまして、 全国の先行事例を見ますと、法廷協議会を設置する前段階として、幅広く合併について論議を行うために設けられている場合が多いと言えると思います。 メンバーや論議の内容について特段の定めはありませんし、各協議会においてそれぞれ独自に設定をして取り組まれるということになります。

 次に、法定協議会でありますが、これは地方自治法の規定に基づきまして、関係市町村議会の議決を経て設置をするというもので、 その合併協議会の委員については、市町村の合併の特例の法律があります。そこの中で、関係市町村の議会の議員または長、その他職員のほか 学識経験者を加えることができるということにされております。具体的な組織例としましては、首長、議員などが委員として参加する合併協議会本体のほかに、 助役などによる幹事会や、課長クラスによる専門部会などが設けられるケースもあります。また、これらを支える事務局が設けられるのが一般的な対応かと存じます。 この法定協議会は、いわゆる合併特例法の規定によりまして、合併市町村の建設に関する基本的な計画の作成、 その他市町村の合併に関する協議を行うものとされておりまして、将来のまちの姿が住民の方々に明らかになるように、市町村建設計画の策定をはじめ、 合併に関するあらゆる事項の協議を行うことになるものであります。

 次に、合併協議を行う上で留意すべき事項というお尋ねがございましたが、市町村の合併は、その地域の将来のまちづくりでありますことから、 まさに合併協議会での協議内容につきましては、広く住民の方々へ情報提供を行い、住民の方々からの意見も聞きながら、その理解と協力を得ていくこと、 また、複数の市町村間の協議でありますことから、お互いに譲り合えるところは譲っていこうとする相互互譲の精神で協議を進めることなどが国の方でも挙げているところであります。 地域の方々には、将来のまちづくりに向けて大いに関心を持っていただき、また、説明会などに積極的に参加して意見や要望などを伝えていただき、 協議会の側も、これを受けとめて、さらなる論議を重ねていくことが大切であると考えているところであります。


 続きまして、市町村合併を進めるための補助金や交付金などの県の財政支援について、他府県と比べて低いのではないかというお尋ねでございます。

 市町村合併の推進に対する県の財政支援につきましては、まず任意の協議会への助成としまして、平成十四年度におきましては、 昨年の市町村合併推進事業補助金を合併推進事業交付金と改めまして、使途などを各市町村の自主的な判断にゆだねつつ、一協議会当たり500万円を交付することにいたしております。 また、十四年度、新たに地域活性化事業総合補助金におきましても、合併重点支援地域の指定を受けた市町村が共同で実施する事業、これはハードのみならずソフト事業も入ります。 これを補助対象として対応するとともに、市町村振興資金についても合併重点支援地域で広域的に行う公共施設の整備事業を対象とすることとしておりまして、 財政支援措置の拡充を図っていく考えであります。さらに、要請に応じた専門家、アドバイザーの派遣のほか、現在、合併協議会の事務局に対する人的支援についても検討しておりまして、 このような財政的支援、あるいは人的支援をトータルで見ていただければ、本県の支援が低いという状況にはないということは十分ご理解いただけるものと考えております。 なお、法定協議会に対しては、国において別途補助制度を設けております。また、合併重点支援地域は国の支援プランの対象になりますので、このような国の各種財政措置についても、 関係市町村と連携を図りつつ、積極的な活用に努めてまいりたいと考えております。


 第三点目は、県としても全庁的な取り組みとして各種の事業を推進していくことが必要であるが、どうかというお尋ねでございます。

 県では、各市町村の合併に対する取り組みを支援する体制として、昨年五月に知事を本部長とする奈良県市町村合併支援本部を設置して、部局横断的な庁内支援体制を整えております。 一方、国におきましても、昨年八月には総務大臣を本部長とする市町村合併支援本部において、先ほど申し上げました合併支援プランを策定しております。 このプランには各省庁のさまざまな支援メニューが盛り込まれておりまして、また、各省庁ともそれぞれ市町村の合併の支援窓口を設けております。 県におきましても、これにあわせて各部局に市町村合併の窓口担当者を設定しまして、それぞれ情報収集、あるいは国への照会、 あるいは市町村からの問い合わせに応じるように整えているところであります。今後、県内の各地域において市町村合併についての取り組みがさらに進みますと、 県事業も含めまして、県の各部局への相談や問い合わせも多くなると想定をいたしております。全庁的な体制である市町村合併支援本部のもとで各部局の連携を図りながら、 各地域の支援に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

企画部長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えさせていただきます。

 過疎ニューライフ推進事業についてお尋ねをいただきました。この過疎ニューライフ推進事業は、過疎町村による自然、歴史、 文化などの地域資源を生かした地域づくりの取り組みを支援、推進していくために、平成七年度から一年ごとに実施をしてきているものでございます。 特に、吉野郡で二回に分けて実施をいたしました吉野魅惑体験フェスティバルでは、県の実行委員会で全体像の企画調整を行うとともに、 町村ごとのイベントについては、各町村の実行委員会が自主的、主体的な取り組みを行うという方式で開催をしたところであります。 この結果、例えば、近畿の屋根、大台ヶ原を自転車で駆け上がるヒルクライム大台ヶ原2001でありますとか、あるいは、まぼろしのJR五新線のトンネルを生かした西吉野サマートンネルパーク物語、 あるいは地元産の木材や和紙を新たな産業創造につなげようとする吉野山灯り展など、地域資源を活用した観光振興や特産品の開発などの中長期的視野に立った目標を持ちまして、 一定の成果を上げたものが見られたというふうに認識をしております。また、その実施に際しましては、Uターン、Iターンされた方、あるいは地域外の方、 そうした方々を含む多くのボランティアが活躍をされまして、参加・連携による地域づくりにつながる取り組みが見られたと認識しております。

 お尋ねの十五年度開催予定の(仮称)宇陀魅惑フェスティバルにおきましても、これと同様に、町村実行委員会の自主的、主体的な企画運営によりまして、 宇陀郡各地の地域資源を生かしたイベントを実施していただきたいというふうに考えているところでございます。その中で県の役割は、イベントの全体像の企画調整、 また、オープニングイベント、フィナーレイベントなどによる宇陀郡全体の統一感や連携関係の構築、また共通広報PR、さらには町村イベントへの積極的な支援などが基本というふうに考えております。 平成十四年度はその開催準備に着手することとなるわけですが、準備段階から、イベントを契機に宇陀郡の地域づくりについてどういった成果を残せるかという戦略を十分に練り上げるということを目指しまして、 各町村の実行委員会とともに鋭意創意工夫を行ってまいりたいというふうに考えております。

 以上でございます。

農林部長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えをいたします。

 農業振興について二点のお尋ねがございました。まずその一点目でございますが、エコファーマーに対する取り組みについてでございます。 安全・安心で良質な農産物の供給は、今日的に県民の皆様の関心の大変深い課題でございます。「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」に基づき、 本県でも平成十二年に持続農業推進基本方針並びに導入指針、栽培技術指針を策定し、化学肥料、農薬使用を低減し、積極的に堆肥を用いるなどの取り組みを通して環境に優しい農業に取り組む、 いわゆるエコファーマーの栽培計画の認定を開始しております。現在、認定者は6名、内訳を申し上げますと、お茶で4名、野菜、果樹でそれぞれ1名でございます。 審査中の方々が6名、農家はもとより一般消費者の関心が高く、今後エコファーマーの大幅な増加が見込まれる状況にあります。そのため、 生産者、消費者双方に対してエコファーマー制度の一層の啓発PRに努めるとともに、啓発シール等についても、安全・安心の農産物として明確にするために有効と考えられます。 その導入につきましては、現在、認証制度全体の見直し作業に入っておりますので、その作業過程で検討してまいりたいと考えておるところでございます。


 二点目は、宇陀郡の農業に対する支援策についてのお尋ねでございます。

 宇陀郡は従来から、ホンレンソウやトマト、宇陀ごぼう等の生産振興に取り組んでこられました。しかし、兼業化や担い手の高齢化などにより、 その生産は減少傾向にございます。こうした中で軽作業で栽培できるホウレンソウは今後とも有望な品目と考えており、そのため品質向上と省力化を図るため、 雨よけ施設の導入や共同集出荷調整施設の整備を支援してまいったところでございます。今後、さらに産地ブランドとしての確立を目指してまいりたいと考えております。 また近年、国営事業で農地造成いたしました畑において、奈良県農協が中心となって、機械移植によるハクサイの産地化を推進してまいりました。 現在、作付面積が大きく伸びまして18ヘクタールに達したところから、野菜指定産地及び野菜価格安定制度の導入を検討中でございます。 さらに、黒大豆やブルーベリーの作付拡大、庭木用台杉の販路拡大、球根切り花のカラーの新規導入等に対して支援しているところでございます。 今後とも、宇陀郡内町村との連携を一層密にするとともに、奈良県農協の実践的な活動を促し、特産品づくりと産地育成を図ってまいりたいと、こう考えているところでございます。

 以上でございます。

林務長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私へのご質問は、山林の評価の向上に資する施策についてでございます。近年の林業、木材環境を取り巻きます環境につきましては、国産材価格の低迷によります林業の採算性の悪化など、 きわめて厳しい状況にございます。この林業不況が、山村地域におきます経済活動の諸般にわたり大変大きな影響を与えていると考えているところでございます。 ご指摘の山林の評価につきましても、長期にわたる木材価格の低迷によります林業不振が大きく作用し、評価の低下につながっていると考えている次第でございます。 林業、木材産業につきましては、本県の大変重要な産業でございまして、とりわけ山村地域におきましては基幹的な産業である、また、大変厳しい状況が続いていることなどから、 かねてより林道整備によります生産性の高い森林の造成、あるいは間伐の実施によります森林の資源内容の充実等とあわせまして、県産材の需要拡大などの諸政策を総合的に実施しているところでございます。 なお、今後とも引き続き林業、木材産業の振興を図ることによりまして、山村地域におきます経済活動の活性化に鋭意努めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 以上でございます。

健康局長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私へは、畜産試験場跡地利用について、跡地への動物愛護センターの設置と、動物の愛護条例の制定についてのご質問でございます。 動物愛護センター建設につきましては、地元に対してこれまで誠意をもって説明会を実施しているところでございますが、今後も積極的に理解を求めていくよう努力してまいります。 愛護センター建設の目的は、センターで行います事業等を通じまして、県民に動物愛護精神の普及啓発を行い、現在やむを得ず処分されている動物の数を少しでも減らしていくことでございます。 今後とも、現在県で実施しております啓発事業等を通じて、県民に広く動物愛護センターの理念に対する理解をいただけるよう努力してまいります。

 また、動物愛護条例の制定についてでございますが、昨年九月議会でお答えしたように、先例自治体の情報収集を行うとともに、現在、ホームページに寄せられました県民の意見を分析しておりまして、 その中ではペット動物の適正な飼い方に関する意見が多く寄せられております。今後、これらの意見を参考にし、さらに多くの情報や意見を収集するとともに、 動物愛護センターの事業内容も考慮して条例制定を行いたいと考えております。

 以上です。

警察本部長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 まず、警察行政における男女共同参画社会についてのご質問でありますが、議員ご指摘のように、近年、窃盗をはじめ児童虐待事案など、 女性が被疑者となる事件が増加傾向にあることから、県警察といたしましては、平成十一年に天理警察署に女性専用の留置場を開設するなど、 女性被疑者の適正処遇を図っているところであります。一方、女性が被害者となる痴漢やDV事案等の被害者対策として、主要駅構内や主要交番に女性警察官を配置し、 女性のための安全相談所等を設置するとともに、性犯罪事件発生の際に、被害者のニーズに応じた幅広い支援を行う性犯罪被害者支援要員制度を設けております。 また、平成十二年九月には、ストーカー規制法の施行にあわせて、警察本部にストーカー対策室を設置し、女性を対象にした被害防止講習会の開催、 婦人相談所をはじめとする関係機関との連携強化等、女性を守る諸対策を講じているところであります。

 警察といたしましては、今後も引き続き女性被疑者に対する処遇の適正化を図る一方、DV事案やストーカー事案の被害者となった女性に対しては、その意思を尊重しつつ、 被害の拡大防止や積極的な事件化を図るとともに、被害者が精神的な打撃を受けている場合には適切な施設を紹介するなど、事案に応じた対応を図ってまいりたいと考えております。


 次に、女性警察官の採用等についてでありますが、本県警察では、昭和48年度から女性警察官を採用し、現在85名が在籍しており、本県警察官全体に占める割合は、 全国平均と同じ3.8%となっております。採用後の女性警察官は、男性警察官と同一の教養を受け、昇任についても同一条件で試験を受けており、 現在、警部補5名、巡査部長17名、巡査63名の階級構成となっております。これら女性警察官は、その特性を生かした性犯罪捜査員や女性被疑者専用留置場の監視勤務員をはじめ、 可能な限り男性警察官と同一の業務に従事させております。県警察といたしましては、今後とも女性警察官を積極的に採用し、職域の拡大や適材適所の配置に勤めてまいりたいと考えております。


 続きまして、宇陀郡内の防犯対策に関するご質問でありますが、まず、昨年の県内における刑法犯認知件数は、過去最高の31163件で、平成十二年に比べ24.4%増加しております。 特に路上などの公共空間における車上ねらい、部品盗、自動車盗、自動販売機荒らしなど、県民の身近なところで発生する犯罪が急増しております。 このような傾向は、従来から犯罪率が低く、比較的治安がよいといわれていた宇陀郡内にも及んでおり、昨年は、郡内において刑法犯認知件数が460件と、 一昨年に比べ8.2%増加し、10年前の平成三年と比較すると約1.6倍になっております。また、その内容を見ますと、県下全体の傾向と同様に、自動販売機荒らし、車上ねらいが発生しております。 このような状況に対し、県警察といたしましては、宇陀警察署を中心に、トワイライト作戦と称し、夜間の警察官によるパトロールを強化しているほか、車上ねらい防止対策として、 多発地域における注意喚起の立て看板の設置や、啓発ビラの配布、自動販売機設置者に対する防犯設備の設置促進等の対策を講じております。 さらに、宇陀警察署管内の全域のスーパー、コンビニを対象に、宇陀地区深夜スーパー等地域安全対策協議会を組織し、防犯指導の強化に努め、その結果、 宇陀警察署管内で昨年の七月と今年の二月に発生したコンビニ強盗事件につきましては、被害者の素早い110番通報などにより、犯人をスピード逮捕しております。

 しかしながら、現下の厳しい治安情勢に対応するためには、今後、警察による犯罪の検挙、抑止活動と相まって、自治体、企業、住民のそれぞれが、 地域で発生している犯罪情報に関心を持ち、自主防犯に努めていただくことが必要であると考えております。このような観点から、住民の方々に対し、 自分の地域は自分で守るとの意識のもと、警察、自治体が推進する地域安全活動に積極的に参加していただくことをお願いしておりますほか、 自治体や事業主に対し、防犯に配慮した環境設計活動を進めていただくよう要請を行っているところであります。

 以上でございます。



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