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会議録




平成14年12月 第263回 定例奈良県議会 会議録



質問に対する答弁



質問内容 答弁者
市町村合併について 知事
人事委員会勧告について 知事
人事委員長
介護保険について 知事
雇用対策について 知事
山間部の水道未普及地域の解消について 健康局長
動物愛護条例について 健康局長
農林業の振興について 副知事
林務長
土木行政について 土木部長
教育振興について 教育長


知事の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 まず第一点は、市町村合併についての数点のお尋ねでございます。

 一点は、県内の市町村合併に向けた各地の取り組み状況についてでございます。 本日のそれぞれの質問にお答えしてきたところとも重複いたしますが、市町村合併につきましては、現在のいわゆる合併特例法が平成十七年三月末で期限切れになることを念頭に置きますと、 それぞれの市町村が合併について自主的、主体的に具体的な検討を行っていただきまして、早期に結論を見出すべき時期に来ていると認識している次第でございます。

 このような状況の中ではございますが、県内各地で市町村合併についての取り組みがそれぞれの形で進められており、現在県で把握している各地域の動きを申し上げますと、 まず、地方自治法第二百五十二条の二の規定に基づくいわゆる法定合併協議会を設置している地域は一地域ございます。新庄町、當麻町でございます。 次に、その法定協議会の設置を目指して任意の合併協議会を設置している地域がございます。これは宇陀六町村と吉野郡八町村の二地域でございます。 なお、吉野郡につきましては、昨日、下北山村が任意協議会に参画することとなったと聞いておる次第でございます。また、市町村合併についての研究会を設置している地域がございます。 これは、吉野郡四村、山添三村、王寺周辺七町及び中和地域七市町村の四地域でございます。ということで、これを合わせますと計七地域、三十七市町村がこれに該当するわけでございます。 このほか、議員有志の研究会、住民なども参加した研究会や職員による研究会などが設けられている市町村もあるなど、最近、取り組みは県下全域に広がっている状況にあると考えている次第でございます。

 いずれにしても、この市町村合併は、それぞれの地域が今後どのようなまちづくりを進めていくか、どのような行政レベルを確保すべきか、どのような地域像を目指していくのかと、 そうした各地域の将来像に大きくかかわるものでございます。そのため、それぞれの地域におきまして積極的な議論や検討を行っていただきまして、 地域にとって最良の結論を見出されることが期待されるところでございます。県といたしましては、今後ともこうした各地域の動きを十分注視しつつ、関係市町村の意向も踏まえながら、 それぞれの地域の実情に応じた支援を積極的に実施してまいりたいと考えております。

 次に、国レベルで議論されている小規模市町村に対しての地方自治のあり方についての所見と、こういうことでございます。

 市町村につきましては、戦後約半世紀で、日常的には住民に身近な行政サービスを一元的に供給する基礎的自治体として、行財政能力は向上してきたと私は認識しております。 俗っぽく言いますと、教育や福祉とか身近な行政については、大体地元の市町村に行っていただければ、けりがつくと、こういう状況に育ってきたと、こういうふうに私は理解しております。 しかし、今後予想される、きめの細やかな、あるいは高度化する行政サービスをどのようにして供給していくかという市町村の質の課題にこたえるために、 市町村の合併が課題になっていると私は考えているところでございます。一方、地方分権の進展、あるいは市町村合併の推進に伴う市町村規模の拡大や、 国や地方を通じた厳しい財政状況等を勘案いたしますと、国と地方の役割分担、あるいは都道府県と市町村のあり方等を含めた地方行財政全般について、 幅広く議論がなされるべきものと考えるところでございます。また、このような議論は地方自治制度の根幹にもかかわるものでございますので、大いに関心を持って、 例えば現在行われております第二十七次地方制度調査会とか、自民党の地方行政調査会での議論を注視しているところでございます。

 いずれにいたしましても、現下の市町村が置かれている厳しい状況の中で、将来に向かって住民サービスの水準の低下を招くことのないような市町村の行政体制を確保していくことが必要と考えておりまして、 こういう観点から市町村との連携を図りつつ、いろんな議論を注視するとともに、必要に応じましては、先ほどもお答えいたしましたように、 関係方面への働きかけを行ってまいりたいと考えております。


 次は、人事委員会の勧告についての対応のご質問でございます。

 一つは、デフレ効果を与えることにならないかと、こういうことでございますが、人事委員会勧告そのものは、今回は給料等の引下げの勧告でございましたが、 制度といたしましては、専門かつ第三者機関である人事委員会が、官民の給与実態を正確に調査した結果として、厳しい民間の経済情勢を反映したものと考える次第でございます。 県といたしましては、十分議論を尽くした結果、人事委員会勧告が、地方公務員法第十四条に定める情勢適応の原則に照らし、適法適切になされたという判断のもとに、 勧告どおりの実施を決定した次第でございます。議員お述べのように、経済政策全般についての問題、あるいはこういうものがデフレにどういう影響を与えるかということは、 やはりデフレ対策としての観点から総合的に推進していくほかはないと考えている次第でございまして、その点につきましては、県も国のいろんな政策に呼応した対応を迅速に講じてまいりたいと考えている次第でございます。

 次に、公民較差の点につきまして、不利益不遡及の原則に反するのではないか、あるいは、職員組合の合意も得ていないのではないかと、こういう点についてのご懸念でございます。

 これにつきましても、先にお答えしたように、過去の増額改定の場合は、常に四月にさかのぼり年間給与の民間との均衡を図ってきたところでございます。 本年におきましては、給料の引下げ等が勧告されたところでございまして、確かに引下げの場合は、既に適法に支給された給与をさかのぼって不利益に変更する形をとることは慎重であるべきだと、できないものと考えている次第でございます。 しかしながら、従来どおり民間との年間給与の均衡を図るという観点から、条例施行日以降の三月期の期末手当で調整を行うことは、そうした原則に照らして十分合理的な措置であると考えている次第でございます。 本県の人事委員会もこのような考え方に立って、平成十五年三月に支給される期末手当の額は、四月からの年間給与について民間との実質的な均衡を図られるよう、人事院勧告に準じて算定した額とすることと勧告されたものと考えております。 なお、国におきましては既に改正給与法が施行されておりまして、十二月期の期末手当において調整がなされることになっておりますし、また多数の都道府県においては、三月期の期末手当での調整措置の提案がなされているところでございます。 こういう情勢を踏まえまして、本県においても三月期の期末手当での調整を行うと、こういうことでございます。

 なお、今回の調整措置につきましては、職員団体の理解を得られるよう努力することは当然のことでございまして、何度となく誠意を持って説明し、話し合いに努めてきたところでございます。互いの立場を理解した上で、 国及び他府県の動向に合わせ対応したいとの確認もなされるに至ったところでございます。

 なお、お触れいただきましたこの人事委員会の勧告とは別に、来年度以降の給与抑制についてお触れいただきました。十四年度分の県税収入が1千億円を割り込む見込みとなるなど厳しい財政状況を、 これは職員団体にご説明した上で、大変厳しい中でございますが、理解、協力をいただいたと、この点については感謝している次第でございます。そういうことでございまして、 先ほどの遡及の話も、違法というところまでは至らないのではないかと、我々としては考えている次第でございます。


 次に、介護保険についての当初の見込みと、実績についての分析ということでございます。

 介護保険制度につきましては、制度施行後二年半以上がたち、市町村保険者はじめ関係者の努力の結果、おおむね順調に実施されており、サービス量が増加するなど、導入による効果があらわれているものと考えている次第でございます。

 次に、給付の状況でございますが、要介護認定者数でございますが、平成十二年度は、計画29,661人に対して、26,296人で、実績の率は89%でございましたが、これが平成十三年度になりますと、計画が30,871人に対して31,983人と104%、 さらに平成十四年度は、計画32,064人に対して、十月時点で既に37,017人でございまして、115%となっております。また、給付費についてでございますが、平成十二年度計画額418億6200万円余に対しまして、実績は322億5100万円余でございましたが、 これは執行率としては77%でございました。これに対して平成十三年度は、計画額496億円余に対しまして実績は420億円余で、執行率85.8%となっております。今年度も、要介護認定者数の増加とともにサービス量が増加しておりまして、 八月実績では、計画額に対する執行率は95.7%、こういうことで、九月実績は91.4%と、逐次増加している傾向にございます。

 制度施行後三年目に入った今年度、特に認定者数が計画を上回った理由を考えてみますと、制度当初には様子見の方がおられた、あるいは、制度の周知とあわせて、サービスを利用された方の情報が伝わるようになったというような、 そういう状況がこういうものに作用していると考えている次第でございます。施行当初の給付額が77%程度にとどまったのは、措置制度から引き続いてサービスを利用した高齢者が、依然受けていたサービスを維持することで、ある程度満足していたということ、 あるいは、家族がいる場合は支給限度額いっぱいのサービスを必要としない、そういうような判断をされたということが主な理由と考えている次第でございまして、現在のような、ここに至りましては、要介護認定者が増加したこととともに、 一人当たりの利用料も増加してきておりまして、こういうことが相まって給付費が徐々に増加していると、こういうふうに考えている次第でございます。

 次に、これに関連して、在宅での介護ということの重要性にかんがみまして、現金給付の創設とか住宅改修に対する支援措置についてご質問がございました。

 介護保険制度の基本的なねらいは、介護を必要とする高齢者等が良質な介護サービスを受けて質の高い生活を送ることができること、あるいは、実際に介護にあたっている家族を支援し、 その肉体的、精神的な負担を軽減することにあると考えている次第でございまして、こういう点から、介護サービスを上手に利用してもらうことにより、要介護者ができる限り住み慣れた家庭や地域で親しい方とともに生活を送ることができるよう、 要介護者本人とその家族を積極的に支援する、こういう考え方が基本にあると考えている次第でございまして、在宅重視を法律上も明確に規定しているところでございます。

 その点から、お尋ねは家族介護に対する現金給付の是非でございますが、この点につきましては、ご存知のことと存じますが、制度立案の過程でもいろいろ議論がございました。 現金を支給したからといって、それが介護サービスに使われる保証がないとか、介護に結びつかないとか、あるいは介護サービスを充実しなければならない段階で現金支給を行えば、 サービスの基盤整備が進まなくなるのではないかとか、そうした現金支給が費用の増大を招いていろいろな負担が過大になるのではないか、大幅な引上げになるのではないかとか、こういう理由もございまして、これが全て正しいという意味ではございませんが、 制度の当初におきましては現金給付は将来の課題とされたと理解している次第でございます。こういう点から、今後いろいろな、またご意見のような点も踏まえて検討されるべき課題だと思っております。

 また、在宅介護を進めるためには、家族介護の身体的、精神的、経済的な負担を軽減することが重要でございます。家族介護教室や介護用品の支給など、家族介護支援事業が設けられております。 こういうものも市町村で積極的に活用されるよう働きかけているところでございます。

 また、もう一点として、住宅改修の支給限度額が20万円に限定されていると。これは実は、手すりの取り付けとか段差の解消というような比較的小規模なものを対象にしておるわけでございまして、 これらに通常要する費用を勘案して設定されたものでございます。これは、当然、制度を作る場合にいろいろ議論されるわけですが、例えば被保険者の資産形成につながることになっては行き過ぎであるとか、 住宅改修について制約を受けるような賃貸住宅に居住する高齢者との均衡があるではないかとか、こういうことでございます。私は、今後の検討課題の一つではなかろうかと思いますが、現在の状況を言いますと、 この20万円に達するまでは複数回利用することも可能で、限度額が20万円と、こういうことになっているわけでございます。

 また、そういう、これは低いのではないかということで、県でも実態を調査させていただきました。そうすると、これは、この制度内での使用でございますが、本年五月に、平成十三年度支給分と平成十四年三月支給分における実使用額を調査したところ、 それぞれ14万4000円、14万7000円と、こういう結果が出ておりまして、もちろんこの支給限度額の中ですけれども、まだフルには使われていないという点もございます。この限度額があることを意識して使われたという面もございますので、 にわかにこれだけで結論をいたすわけにはいきませんが、この制度の趣旨はこういう形でまだ生かせるレベルにあるんじゃないかと思います。ただ、今後もっと在宅介護が進むようにという抜本的な観点は、 介護保険の妥当範囲も含めて、制度問題として議論されるべきではないかと考えます。


 次に、雇用の場の確保ということでございます。県内の企業のニーズに対してどういうような対応をしてきたかというご質問でございます。

 県内企業の事業拡大とか、優良企業の本県への進出、これはもうおっしゃるように雇用の場の確保と地域経済の活性化につながるものでございまして、 これを促進させることも必要ですし、そのための企業ニーズの把握は重要だと考えているわけでございます。このため、本年度も例年と同じく、県内、特に外の企業も含めまして3,000社に対して、 工場立地ニーズのアンケート調査を実施しておりまして、そうして得られた情報をもとに、個別企業の訪問も行っております。そして、工業技術センターや中小企業支援センターと連携いたしまして、 県内企業の巡回訪問により、そうしたニーズ把握にも努めているところでございます。また、厳しい雇用情勢に対応して、昨年九月から奈良県経済・雇用緊急拡大本部を設置いたしまして、 もう既にお答えしているような、雇用の場の確保とか経済活性化のための規制緩和等にも取り組んでいる次第でございます。また、本年度から本県への企業進出や県内企業の事業拡大を支援する企業立地促進資金貸付事業を創設したところでございまして、 県内企業の新たな取り組みを促進するため、経営革新計画の承認をはじめ各種の支援に努めているところでございます。今後とも、こうした県内企業のニーズの把握と支援に努めるなど、適切に対応していきたいと考えております。

 なお、これはご質問でないかもしれませんが、三重県に立地した企業の例をとられましてお話がございました。この企業の天理での立地は、精いっぱい許された敷地の中で必要な増設等を行っていただいている次第でございます。 そういう点で精いっぱいの努力をしているつもりでございます。なお、三重県に移った企業は、この企業だけの団地で十万坪程度の立地でございまして、こうした用地はなかなか県内では確保しにくいという事情がございます。 例えば、今県内東部でつくりたいという工業団地、素地だけで、素地全部合わせましても60ヘクタール程度でございまして、これはつくりましても棚田型の工業団地になると思います。 そうした本県の土地的な条件もあるということはご理解を賜りたいと思う次第でございます。

 以上でございます。

人事委員長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私への質問は、本年度の人事委員会勧告、いわゆるマイナス勧告は、人事委員会勧告制度の趣旨を逸脱しているのではないかとのお尋ねでございます。

 地方公務員法におきまして、人事委員会は毎年少なくとも一回、給料表が適当であるかどうかにつきまして議会及び知事あてに同時に報告することになっております。 また、給与を決定する諸条件の変化によりまして、給料表に定めております給料額を増額または減額することが適当であると人事委員会が認めるときには、 あわせて適当な勧告をすることができることになっております。また、職員の給与につきましては、生計費に加えまして、 国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならないと規定されております。

 これらの規定を踏まえまして、本年度は五月以降、県内事業所におきまして延べ5400名の四月時点での個人給与の実態調査を実施いたしました。 この調査に基づきまして、民間事業従事者と県職員との給与比較を行うと同時に、県内における物価と生計費の動向、あるいは国及び他の地方公共団体の勧告の状況やその動向を十分見きわめました上で、 所要の措置をとることが必要であるとの判断に基づき、去る十月の十五日に議長及び知事に勧告を行ったところでございます。

 勧告の内容につきましては、議員お述べのとおり、本委員会が発足して以来初めて、月例給の引下げなど、職員にとっては大変厳しい内容となっております。 しかしながら、本委員会は、先ほど申し上げましたとおり、本年度の勧告につきましては、法規定及び給与勧告制度の趣旨に照らしまして適正に行ったと考えておりますので、 ご理解をいただきますようお願いをいたします。今後とも本委員会は、労働基本権制約に係る代償機関としての使命を果たせますよう引き続き努力を重ねてまいる所存でございます。

 以上でございます。

健康局長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私へは二点のご質問があります。先ず第一点目は、山間部における水道の未普及地域の解消についてでございます。

 本県の水道普及率は、平成十三年度につきましては現在取りまとめ中でございますので、平成十二年度末で申しますと98.2%と、全国平均を1.6%上回っております。 宇陀郡、吉野郡地域におきましては、集落が点在しているため、飲料水供給施設で対応しているところが多く、また地形的制約もありまして、普及率は82.8%にとどまっております。 宇陀郡の水道普及率は、平成十年度には72.0%でございましたが、大宇陀町南部簡易水道の一部、室生村北部簡易水道の給水開始により、平成十二年度には78.2%となり、 2年間で6.2ポイント増加し、急速な伸びを示しております。また、平成十三年度には室生村南部地域、平成十四年度には大宇陀町南部地域の簡易水道が竣工し、給水開始され、 さらに菟田野町松井地区におきまして平成十五年度の完成を目指し工事が進められており、実施主体である市町村におきまして、簡易水道施設を中心とした未普及地域の整備が図られているところでございます。 県では、これらの事業に対し、県単独補助制度による積極的な支援を行っており、宇陀郡、吉野郡地域では、現在8町村12事業が実施中でございます。 なお、これらの実施中の事業が完成すれば、両地域の水道普及率は88%を越える見込みでございます。今後も引き続き、国及び県の補助制度を活用するよう市町村を指導し、 山間部に残された未普及地域の解消を図ってまいります。


 次に、動物愛護条例の制定についてでございます。

 本県では既に犬につきまして、飼い主の責任、捕獲、抑留を含めた飼い犬管理条例を制定し、適正飼育の指導に努めているところでございます。 お尋ねの飼い犬の登録頭数でございますが、平成十三年度末現在で56,315頭でございます。

 犬を含めた新たな動物愛護条例の制定につきましては、動物愛護事業を推進する上で重要であると認識しておりまして、現在、全国の先進自治体の情報等を収集しているところでございます。 また、動物愛護条例の制定に関してホームページを利用して県民から意見を求めたところ、36件の意見が寄せられております。その内容は、動物の適正飼育の徹底をはじめ、 動物取扱業者の責務の明確化、動物の命の尊さについての教育の実施などであります。今後、人と動物の共生を目指した条例を制定するため、さらに多くの県民の意見を収集するとともに、 動物愛護条例の内容を動物愛護センターの業務に反映させてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

副知事の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私に対しましては、山間部の農林業の振興についてでございます。農業の振興のためには、特産地としてのブランド力を高めることが重要である、こう考えているが、 特に宇陀郡における特産農産物のブランド化や、また営農指導への取り組みについてということでお尋ねでございます。

 お尋ねがありましたように、農業を振興していくためには、商品の開発、さらには販売戦略を含めました営農指導や特産品の認証表示、 さらには環境に優しい農業への取り組み、こうしたことを通じた地域特産物のブランド化、これは今後、より一層重要なものとなると認識をいたしているところでございます。 宇陀郡では、これまでも、夏期、夏の冷涼な気候を生かしたホウレンソウ、あるいは台杉というものが市場で高い評価を受けております。 また、大宇陀町の金ゴボウというのも、また榛原町ではダリヤ、また室生村でのお茶、こうしたものも地域の特産物として現在確立をされております。

 また、新たな特産物を育成するためにということでございますが、東部農林振興事務所を中心に関係機関・団体がこうした営農の連絡協議会を組織いたしまして取り組んでおりますが、 国営の総合農地開発事業による造成畑などにおきまして現在のところ芽生えているものとして、白菜、あるいはレタス、スイートコーン、また黒大豆、こうしたもの、 またさらには、果物でございますが、ブルーベリーといったものの産地化が進んでいる。また、そうしたブルーベリーなどを利用した新しい製品の開発も、ジャムというような形などでも進めております。 また、新鮮なものということで、コンテナ流通というものをやらせていただいて、朝どりの野菜の販売も実施をいたしている、そういうことでございます。 また、お尋ねの特産品の認証表示ということでございますが、宇陀のものではホウレンソウなり台杉、お茶は、県の18品目の特産物ということで「にこにこだいちゃん」、 大仏のマークですが、だいちゃんマークを張りつけまして、さらなるブランド化ということで今全国的にもアピールをしているところでございます。

 もう一つ、環境にやさしい農業に取り組むエコファーマーの制度についてのお尋ねでございます。

 この面についても、県では環境保全型農業の一つということで進めておりますが、啓発のパンフレット、あるいは講演会の開催、また、現地の実証圃を、これは県下で8地区ほどやらさせていただいていますが、 そうしたものを通じて啓発に努めております。その結果ということで、今年度新たに、昨年度に続いて36名の方を認定いたしまして、合わせて現在のところ49名ということで、 昨年からでございますが、宇陀郡では今現在13名の方に認定をさせていただいています。こうした皆さん方が、また独自のシールを張りつけまして、販売の強化を図っておられると、 こういう事例も聞いております。今後さらに、こうした認定の皆さんがふえることをご期待する次第でございます。

 最後になりますが、今後とも、町村や農協などとの連携を一層密にいたしまして、こうした取り組みをさらに進めることによって、安全・安心、新鮮さに優れた特産品の産地育成、 またブランド化を図ってまいりたいと考えております。

 以上でございます。

林務長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えいたします。

 私へは、山間部の農林業の振興につきましての二点目、活力ある林業地帯とするための取り組みはどうかということでございます。

 林業、木材産業は、本県の重要な産業であり、とりわけ山間地域にあっては基幹的な産業でありますことから、かねてよりその振興を図るため、林道整備による生産性の高い森林の造成、 あるいは間伐の実施による森林資源の充実、地域林業の中核を担う森林組合の育成強化、担い手の確保及び県産材の需要拡大などの諸施策を総合的に実施し、その振興に努めてきたところでございます。 こうした中で、今年度からの新規事業であります森林整備地域活動支援事業の推進により、いわゆる放置森林を解消して、森林の適正な管理、整備が促進されるよう、 地域における取り組みを進めているところでございます。特に宇陀郡の町村におきましては、この事業の導入にあたり、その取り組みが積極的でありまして、 森林組合が中心的な役割を果たして、森林所有者とも連携をとりながら、森林の現況調査、作業道の整備などを進めているところでございます。 さらに、同郡内の森林組合では、間伐材を、丸棒、あるいはウッドブロックなどの土木用資材として加工、販売しておりますが、生産途上の森林が多いという状況のもとにあっては、 この間伐材の利用がきわめて重要でありますことから、これらの事業のより一層の効率化を図るための取り組みを進めているところでございます。 今後も引き続き、林業、木材産業の振興を図ることによりまして、山間地域の経済活動の活性化に努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

土木部長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えさせていただきます。

 私に対しましては、土木行政について四点いただいております。まず一点目ですが、現在一部で施行しております予定価格、最低制限価格の事前公表を、 適用範囲を拡大して定着していくべきではないかというものでございます。

 公共事業の入札・契約の適正化を促進するための方策の一つといたしまして、入札・契約手続きの情報を公開することにより透明性を確保するとして、 最低予定価格の事前公表を実施する地方公共団体が多くなってきております。ただ、予定価格の事前公表を行う場合には、入札におきます競争性の確保を、より厳密にいたしまして、 不正行為の起こりにくい環境を整備することも求められております。これらの取り組みに際しましては、慎重な取り組みが望まれているところであります。

 本県では、平成十一年七月から本年三月までの間で直接工事費の事前公表を施行してきましたが、その経過を踏まえましてこの九月から、 8000万円以上1億5000万円未満の土木工事のうち請負業者選定審査会で選定いたしました工事につきまして、予定価格と最低制限価格の事前公表を行い、競争入札を施行しております。 この事前公表の施行に際しましては、一つとしまして、指名業者数を大幅に増やす、二といたしまして、談合に対する指名停止措置期間の強化、三といたしまして、談合情報対策マニュアルの改定、 四番目といたしまして、談合等の不正行為があった場合の契約解除条項を契約書に明記することなどの措置を講じて実施しているところであります。今後、この試行の結果を慎重に分析いたしまして、 予定価格の事前公表の有効性をも確認しながら、より適正な入札方式を定着させていくべく検討を進めていきたいと考えております。


 次に二点目でございます。電子入札の導入に向けた取り組み状況についてでございます。

 電子入札につきましては、国土交通省におきまして、地方公共団体の建設情報の電子化を推進するため、建設CALS/EC地方展開アクションプログラム全国版が昨年六月に策定されております。 そこでは、都道府県の電子入札につきましては、平成二十年が目標年次に設定されております。電子入札システムの開発に当たりましては、システムの乱立によります受注者のコスト負担の増大を防ぐため、 全国共通システムの開発が国土交通省の主導で全国の都道府県の参加により進められております。県におきましても、この全国共通の開発システムに基づきまして、 指導を取り入れながら進めるように考えておりますが、導入に向けての課題といたしましては、セキュリティ対策、それから他システムとの連携などがあります。 今後どのように対応するかを現在調査しているところでございます。今後、早期導入を期待されております電子入札につきまして、国土交通省や先進自治体の成果、実証実験等を注意深く見守り、 また県内の建設業者におきますIT化の推進状況なども把握しつつ、スケジュールを具体化するなど、導入に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。


 三点目でございます。宇陀郡内での幹線道路に関しまして、現在進捗状況についてのお尋ねでございます。

 まず、女寄道路でございますが、桜井市粟原から大宇陀町麻生田におきまして、延長約1.3キロメートルの区画をトンネルを含めたバイパスとして、平成十一年度より事業化しております。 今年度は、桜井市側におきまして用地測量及び地図訂正等の作業を進めるとともに、道路の詳細設計を実施しております。同じく大宇陀町側におきましては、 現在用地買収率は約80%でありまして、工事につきましては河川取付・付け替え工事を実施しております。

 次に、栂坂バイパスですが、宇陀郡室生村田口元上田口から同郡曽爾村山粕におきまして、延長約3.7キロメートルの区画をトンネルを含めたバイパスとして、平成九年度より事業化しております。 用地買収につきましては完了しておりまして、今年度は栂坂第二トンネル、栂坂一号橋下部工事及び曽爾村山粕地内の改良工事を実施しております。室生村地内におきましては河川取付・付け替え工事を実施しております。

 次に、榛原バイパスでございます。宇陀郡榛原町福地から同町萩原におきまして、延長約1.2キロメートルを昭和五十八年度に事業着手いたしまして、昭和六十三年三月に0.4キロメートルを部分供用したところでございます。 現在、近鉄大阪線をまたぎます榛原袴線橋工事を実施しておりまして、早期完成に向けて事業を進めているところであります。

 次に、西峠の登坂車線でございます。一般国道165号線におきます桜井市吉隠から榛原町角柄に至ります西峠につきましては、平成十三年度から登坂車線の整備に着手しておりまして、 現在、必要な用地買収について進めております。買収率は72%でございます。

 次に、曽爾バイパスでございます。宇陀郡曽爾村今井から同村掛におきまして延長約3.2キロメートルの区間を、トンネルを含めたバイパスとして平成六年に事業化しております。 これらにつきましても、早期完成に向け努力しているところでございます。

 以上につきまして、今後とも努力するところで、地元の協力を得ながら早期の完成を図るようにいたします。


 それから四点目であります。宇陀郡内での生活に密着した道路と河川整備についての取り組みはどうかということでございます。

 宇陀郡内におきましては、地域住民にとりまして道路は非常に重要な生活の基盤であります。観光へのアクセスも必要であります。そういうことから、国道等幹線道路やこれらを補完する県道の整備を進めています。 平成十三年度四月現在、宇陀郡内におきます改良率は、国道で82%、県道で37%になっております。平成十四年度におきましては、宇陀郡内で、先ほどお答えしました箇所も含め、 国道で四路線九ヵ所、県道で九路線十七ヵ所をやっております。

 それから河川でございますが、宇陀郡内においては従前より、治水安全度の確保と良好な河川環境の保全、創出を目指して河川整備を進めてきたところであります。 現在、補助事業及び県単事業等を種々活用いたしまして、九河川十一ヵ所において総延長4.9キロメートルの区間で河川改修を進めているところであります。 今後とも、地元町村と協力いたしまして、これらの事業を検討の上、努めてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

教育長の答弁

 十九番田中議員のご質問にお答えをいたします。

 私には、小学校において国際理解の立場から行われている外国語教育の取り組みの状況と、期待される成果についてでございます。

 これまで本県では、英会話を通して異文化に触れ、国際社会に生きる子どもたちの育成を研究した小学校をはじめ多くの学校で国際理解教育に取り組んできております。 新しく設けられました総合的な学習の時間では、国際理解に関する学習の一環として、小学校でも外国語会話を取り入れることができるようになり、第三学年から第六学年で実施されております。 本年度は、小学校の約四分の一に当たりますおおむね六十校で取り組んでいるところでございます。また、二十五市町村におきましては、英語を母語とする外国語指導助手と小学校教員のティームティーチングによる授業が行われ、 子どもたちは、英語によるあいさつや歌、ゲームなどを楽しんでいると聞いております。小学校におけるこうした活動を通しまして、子どもたちは世界の文化や外国の人々とふれあい、外国の言語や生活、文化などに慣れ親しみ、 国際性を身につけていくことが期待されております。今後、各学校に英会話教育の実施を促すとともに、その際に、わが国の文化や歴史についても理解を深め、異文化を尊重する心を持った子どもたちが育成できるよう、 国際理解教育の適切な実施につきまして指導してまいりたいと考えております。

 以上でございます。



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